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 「今年は、ネットワークソリューションのうち、Webやメール、業務アプリケーションを扱う『サービス層』、DNS(ドメイン・ネーム・サーバー)や認証機能などがある『ネットワークサービス層』のビジネスが、より拡大する」。東京エレクトロンは、今年のネットワーク事業の強化策として、アプリケーションに近い上位層のネットワーク機器への需要がより高まるという見通しを明らかにした。

 「サービス層」を担う具体的なネットワーク機器としては、Webやメールなどの負荷分散装置や、ファイル転送やデータ共有を最適化・高速化する装置などがある。「ネットワーク・サービス層」では、DNSやDHCP(ダイナミック・ホスト・コンフィギュレーション・プロトコル)の性能やセキュリティ機能を高めた専用アプライアンスが代表的だ。

 特に、重点的に需要を開拓する4分野として、(1)Webサイトを経由したデータベース保護ソリューションやWAF(Webアプリケーションファイアウオール)といった「アプリケーションセキュリティ」、(2)ネットワークやサーバーに接続するユーザーを振り分けセキュリティを保つ「アクセス制御」、(3)WAN回線の最適化機器、(4)ネットワークやサーバーで発生するイベントをログ化し解析する「SIM(セキュリティイベントマネジメント)」関連のソリューション−−を挙げた。まだ決定的なソリューションが出てはいないものの、米国ベンチャーを中心に新たなテクノロジーが出ており、いくつかの企業と新たな製品取り扱いの契約を準備しているという。

 東京エレクトロンでは、ネットワーク事業のうちスイッチやルーターの販売額が占める割合は年々低下しており、「既にネットワークサービス層以上の製品が過半数を占めるまでに育っている」(コンピュータ・ネットワーク事業部の天野勝之事業部長、写真)。今年もこの傾向が続くことで、コンピュータ・ネットワーク事業部全体で増収基調を維持するという。

 このような事業強化策の一環として、2月7日から米インフォブロックスのネットワーク機器「Infoblox-500」「同1000」「同1200」の取り扱いを始めた。DNSやDHCPなどが担うIPアドレスやドメインネームの付与機能、管理機能を1台の機器に収めており、「ネットワークIDアプライアンス」と呼んでいる。IPアドレスなどの管理を集約することで、一元的な運用ポリシーを設定し、設定の矛盾も排除できる。また、DNS攻撃などに対するセキュリティ機能を備えるほか、機器が自ら冗長構成を備えることで信頼性を高めた。価格は98万8000円から。直販のほか、パートナー企業にも製品を卸売りする。今後1年で合計200台の販売を見込む。