米Microsoftの低価格戦略にはどのように対抗すればよいのだろうか?もちろん製品を無償で提供するのも1つの手だろう。仮想化システム大手の米VMwareは2月6日に,仮想化サーバー・ソフトウエア「VMware Server」の無償提供を近々開始すると発表した。VMware Serverは,安価な「Microsoft Virtual Server」製品群と競うことになる。

 まずVirtual Serverがどの程度安いのかをみてみよう。Microsoftは2006年1月に,「Windows Server 2003 R2 Enterprise Edition」のライセンス購入者を対象として,2006年6月30日までの期間,ハイエンド製品の「Virtual Server 2005 R2 Enterprise Edition」を割り引き価格99ドルで販売すると発表した(訳注:日本では1万8600円)。Virtual Serverは通常価格も驚くほど高いわけではない。「Virtual Server 2005 R2 Standard Edition」の小売価格はたった99ドルだし,Enterprise Editionも199ドルで買える。R2より前のVirtual Serverは,Standard Editionが499ドル,Enterprise Editionが999ドルだった。

 VMwareは価格体系を新しくした理由について,「仮想化システムが主流になりつつあるため」と説明した。無料版VMware Serverは,有料だった「VMware GSX Server」の後継版に相当し,同社の優れた仮想化技術を盛り込んでいて,Microsoft製品にはない多くの機能を備えている。仮想化技術の草分けであることから,VMware ServerはWindowsとLinuxの両方に対応している。Virtual Serverと違い,VMware Serverは「Windows XP Professional x64 Edition」などの64ビット用OSをゲストOSとして使うことができる。

 VMware ServerやVirtual Server,クライアント向けの「Virtual PC」といった仮想化製品を使うと,ソフトウエア・ベースの仮想マシン上で完全なOS環境を動かすことができる。ユーザーが操作する仮想OS環境の動作速度は,本物のハードウエア・ベースのOS環境に比べかなり遅い。しかし,動作試験やヘルプ・デスクなどでは便利に使える。一方「VMware ESX Server」のようなサーバー・ベースの仮想化マシンは,複数のレガシー・サーバーを集約する手段としての有用性が高まってきた。こうしたサーバーはインタラクティブに操作することがあまりないので,サーバー・ベースの仮想マシンは驚くほど高い性能を出すことがよくある。

 VMware Serverのベータ版は,VMwareのWebサイトからダウンロードできる。最終版の出荷は,2006年前半に開始する予定だ。