東京証券取引所は2月6日、誤発注で異常注文が約定してしまうのを防ぐため、システムの機能強化と業務ルールの改善をそれぞれ進めていく考えを改めて示した。金融庁が同日午後7時から開催した「証券取引所のあり方等に関する有識者懇談会」に出席した西室泰三社長兼会長が表明した。

 東証は1月31日の記者会見で、異常な注文を受けた際に証券会社と連絡を取り合う緊急時体制を整備したり、市場の混乱を避けるために、異常注文を緊急市場情報として開示するといった対策を打ち出した。2月6日はさらに踏み込んで、売買がいったん成立した後でも、明らかに異常な注文は約定させないようなルール作りを検討していく考えがあることを示した。

 誤発注の約定防止をめぐっては、上場株式数に応じた注文数量のチェックや新規上場銘柄の価格チェック機能などをシステムに盛り込んでいくことを、1月31日の会見で西室社長兼会長が明らかにしている。ただ、システム面での対策だけでは、誤発注の約定を未然に防ぐことは難しく、業務面での新たなルール作りが今後の焦点になっている。

 有識者懇談会は、電通の成田豊最高顧問を座長に、合計10人のメンバーからなる。具体的には、神田秀樹東京大学大学院教授、香西泰日本経済研究センター客員研究員、柴田昌治日本ガイシ会長、堀紘一ドリームインキュベータ社長、矢野朝永企業年金連合会専務理事、山口英内閣官房情報セキュリティ補佐官、西室泰三東証社長兼会長、米田道生大阪証券取引所社長、越田弘志日本証券業協会会長。