「日本能率協会コンサルティング(JMAC)が活動協力するからには、何としても“実用的な場”にしなければいけない。業界団体にありがちな、定期的に顔を合わせて雑談するだけの“仲良しクラブ”には決してしない」。企業のビジネス・プロセスを可視化することで改善活動と情報システムの変更を容易にする「BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)」の普及・啓蒙団体、日本BPM協会の会長を務める、JMACの秋山守由社長はこう断言する。

 日本BPM協会は2006年1月17日に設立した任意団体。2006年4月をメドに有限責任中間法人となるのを期に、ユーザー企業のシステム部門や利用部門、ITベンダー、コンサルティング企業に参加を呼びかけて、本格的に活動を開始する。副会長は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)の鶴保征城所長と東京工業大学の飯島淳一教授が就任した。

 主な活動内容は、BPMを実行するための用語や方法論を統一したり、海外の最新情報を提供すること。最終的には、業界ごとの標準的なビジネス・プロセスを図示したモデルを提供することまで狙う。ビジネス・プロセスを記述するためのモデリング言語としては、標準策定団体の米BPMI(ビジネス・プロセス・マネジメント・イニシアチブ)が提唱する「BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング・ノーテーション)」を採用する。

 BPMNは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づいてシステムを開発する際のモデリング言語の標準とみられている。BPMNでモデルを規定すると、その順序通りに複数のサービスを連携させた処理を容易に実現できるからだ。企業がビジネス・プロセスを変えると、情報システムもそれに合わせて即座に変更できるので、情報システムを含めた改善活動(=BPM)を進めやすい。

 BPMを普及させていくには、ユーザー企業、ITベンダー、コンサルティング企業がBPMに対して共通認識を持つ必要がある。そのための“場”が同協会という位置付けだ。「BPMNで記述したモデルを通じて、経営戦略とITの実装の橋渡しを支援したい」と秋山会長は話す。「これまでアナログの手法で企業の改善活動のコンサルティングを実施してきた際、『情報システムの変更がもっと早くできないものか』と考えることがよくあった。しかし、BPMであれば、即座に改善の結果を情報システムに反映できる」(同)。

 日本BPM協会はJMACのほか、ソラン、日揮情報システム、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)、日本ティブコソフトウェア、日本ドキュメンタム、日本プロセスなど10の企業・団体が支持して発足した。今後、JMACの顧客企業などを中心に会員数を伸ばし、来年1月までに300社/団体、1000人の参加を見込む。