経営情報学会は2月6日、東京証券取引所のシステム問題に関するコメント「一連の『東証』の問題に対する見解」を発表した。「東京証券取引所の経営者には、取引所のビジネスが情報システムで成り立っているという自覚が不足しているように思われる」と指摘している。

 見解では、「システムがダウンしたとき、東証が委託先のITベンダーの社名を出して損害賠償に言及している」点について、「情報システムの運用管理について、自らの責任を感じているとは思えない。証券取引所の基幹業務を支える情報システムをアウトソーシングしていることに対する本質的な理解が欠けていると言わざるを得ない」と述べている。「今回のような対応をすると、現場の士気が大幅にダウンすると考えられる」と続けている。

 さらに、「システムの実装や運用におけるミスを100%防止することは不可能」とした上で、「マネジメントの観点からは、障害発生を前提としたルール作りや体制の整備が必要」と説いている。

 見解を発表したのは、経営情報学会の「『システム統合』特設研究部会」。2002年4月に発生したみずほ銀行のシステム障害を契機に、同学会が設置した部会である。システム統合を成功させるための議論を交わすほか、大規模なシステム障害についての検証もしている。

 経営情報学会は、1992年4月の設立。経営情報にかかわる諸問題を研究している。会員数は昨年12月時点で1450人。会長は早稲田大学の平野雅章教授が務めている。日本には情報処理学会などIT関連学会が50近くあるが、東証問題に公式見解を出した組織は極めて少ない。

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