欧州連合(EU)の独占禁止法(独禁法)関係者が米Microsoftに対する厳しいコメントを出したことに対し,Microsoftの担当者は「制裁措置の条件に効率よく対応できるだけの情報をEUが出していない」と批判した。同社はこの“情報不足”を理由に,Windows技術情報を提供する期限のさらなる延長を求め,守りを固めようとしている。これまでも,同社は締め切りを2006年2月15日に延ばしてもらったことがある。

 Microsoftの広報担当者は2月1日に,「当社はわれわれに関する訴状を閲覧したいだけで,これは公平性と透明性に関する基本的な問題だ」と述べた。この要求の透明性はうがった見方ができるかもしれないが,Microsoftの言い分を検証してみよう。同社によると,同社を訴えたEUの告訴状は100件のうち71件が部外秘または機密に分類されており,Microsoftによって調べることができないという。さらに同社は,EUと競合他社とのあいだで交わされた内容の閲覧も許可すべきと主張している。

 Microsoftの弁護士は,以下の内容の書簡をEUに送った。「(こうした文書を)閲覧できないことは,被告としての当社の権利に深刻な損害を与えている。こうした(EUの独禁法当局である)欧州委員会(EC)の姿勢は,独占行為の調査を進める際に透明性を確保し正当な法の手続きに従うというEC自体の方針に反しており,特に問題である」

 EUのある広報担当者は「ECはMicrosoftの要求を検討している」と話してくれた。「被告権がECに損なわれたというMicrosoftの主張は,時期尚早だ。Microsoftの件でわれわれと相談している企業は,やり取りの機密が保たれると考えている。ご存じのように,Microsoftは業務に関する機密に固執する企業だ。あくまでも,自社の機密にだが」(EUの広報担当者)。