写真1 Office 12のPowerPointの画面。
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写真2 個条書きをボックス図に変更する画面。
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写真3 個条書きがボックス図になった。
写真3 個条書きがボックス図になった。
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写真4 個条書きが円を使った図になった。円などをユーザーが配置する必要はない。
写真4 個条書きが円を使った図になった。円などをユーザーが配置する必要はない。
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写真5 Excelで「条件付き書式」を使用している画面。
写真5 Excelで「条件付き書式」を使用している画面。
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写真6 売上げが多いセルに色が付いた。
写真6 売上げが多いセルに色が付いた。
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写真7 1行目に記載した項目が,列の項目名になっている。
写真7 1行目に記載した項目が,列の項目名になっている。
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写真8 Office 12のWordの画面。
写真8 Office 12のWordの画面。
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写真9 Office 12のOutlookの画面。右端に「To-Doバー」があり,カレンダーとタスクを参照できる。
写真9 Office 12のOutlookの画面。右端に「To-Doバー」があり,カレンダーとタスクを参照できる。
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写真10 カレンダーの下に表示されているのがその日の「タスク」である。
写真10 カレンダーの下に表示されているのがその日の「タスク」である。
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写真11  左は個人のカレンダー。右はSharePointで管理しているグループのカレンダーである。
写真11 左は個人のカレンダー。右はSharePointで管理しているグループのカレンダーである。
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 マイクロソフトは2006年2月2日,ソフトウエア開発者会議「Microsoft Developers Conference(MDC) 2006」の基調講演で,現在開発中である「Office 12」のデモを日本で初めて実施した。デモを実施した米Microsoftの沼本健氏は「Office 2003以降,製品ラインにはコンテンツ管理サーバーのようなサーバー製品も含まれている。単なるデスクトップ・アプリケーションではなくソリューションであることを理解してほしい」と強調した。画面写真を交えながら,Office 12のデモをレポートする。

 Office 12で重要なのは,ユーザー・インターフェース(UI)が一新されることである。Officeソフトは多機能化が進んだため,コマンドの量が非常に増えた。沼本氏は「Word 1.0は150コマンドしかなかったが,Office 2003には1500コマンドが搭載されている。アイコンをまとめたツール・バーだけでも30もある。ユーザーはもはやコマンドを把握できなくなっている。例えば,マイクロソフトにユーザーから寄せられる新機能のリクエストの過半数が,既に実装済みであるのが実情だ」と語る。そこで,「タブ・ベースのUI」と「結果指向のUI」という2つの切り口で,UIを変化させる。

 タブ・ベースのUIとは,アイコンが「タブ」でまとめられていることを指す。写真1はPowerPointの画面で,画面上部に「スライド」「挿入」「デザイン」「アニメーション」「スライドショー」「校閲」というタブが見える。このタブをクリックすると,その下にあるアイコン群が,タブの名称に見合ったものにすべて変更される。沼本氏は「ユーザーの利便性のため,コマンド(アイコン)自体は,過去のバージョンを踏襲している。ユーザーはコマンドを探してマウスを動かすことが減るだろう」と語る。

 結果指向UIとは「PowerPointでユーザーがやりたいことは,絵を描くことではなく,自分のコンセプトを図に落とし込むこと。こういった結果を簡単に実現できるようにしたのが結果指向のUI」(沼本氏)という。

 例えば,写真1のような箇条書きの文字列は,写真2のように書式を選択するだけで,簡単に写真3のようなボックスを用いた図に整形できる。さらに別の書式を選ぶと,円を多用した図に変更できる(写真4)。従来のPowerPointで写真4のような図を作るためには,円や矢印をユーザーが自分で配置する必要があったが,Office 12では書式を選ぶだけで概念図が作成できるようになる。

「条件付き書式」で視覚的な図表を

 Excelでは「条件付き書式」において結果指向UIに基づく機能が追加される。写真5写真6は,同機能を用いて,「売上」の列で特に数字の大きいものを視覚的に目立たせたもの。「上位x個」という条件に基づいて,セルの書式が変化するという仕組みだ。

 Excelにはこのほか,“気のきいた”機能も追加される。今のExcelでは,一番上の行に「区分名」「商品名」「商品別売上高」という列の属性を記述しても,画面を下にスクロールさせると一番上の行が見えなくなるため,その列が何の列か分からなくなる場合があった。それを避けるには,ユーザーが画面を分割する必要がある。一方,Office 12のExcelでは,写真7のように画面がスクロールすると,列の項目そのものが一番上の行に書かれている属性の名称に変化する。

「変更履歴」を一括削除

 Wordでは,「文書入力」「挿入」「ページレイアウト」「参考資料」「差し込み文書」「校閲」というタブが搭載されることなどが説明された(写真8)。

 また,ドキュメントに複数ユーザーでコメントや変更を加えた後に,社外などに出す前にその履歴を一括で削除できる「ドキュメント検査機能」が搭載されることも明らかにされた。また,Office 12はPDF形式による出力にも標準で対応する。

「スケジュール」と「タスク」が融合

 Office 12のOutlookは,UIの面で大きな変化はないが,機能は大きく強化される。まず写真9のように,受信ボックスの画面の右側に「To-Doバー」が常設されるようになる。つまり,カレンダーとタスクが常時表示されるようになるのだ。

 タスクの機能はかなり使いやすくなる印象だ。まず,電子メールからタスクが作れるようになる。他のユーザーから来た仕事の依頼の電子メールを,少ない操作でタスクに登録できる。また,カレンダーとタスクの連携も図られる(写真10)。「実は今まで,タスクを作っても,そのタスクをいつ実行するのか,スケジュールに反映できなかった」と沼本氏。Office 12のOutlookでは,タスクを実行する時間枠をスケジュールに登録できるほか「タスクがスケジュールまでに終らなかった場合,自動的に翌日にタスクが繰り越される」(沼本氏)。

 Outlookから,企業用ポータル製品である「SharePoint Portal Server」や「Windows SharePoint Services」で管理しているグループ(チーム)のカレンダーを参照できるようにもなる。個人のカレンダーとチームのカレンダーを重ね合わせることも可能だ(写真11)

 Outlook以外のアプリケーションでも,SharePointとの連携が強化される。例えばExcelの場合,表やグラフをSharePoint用のWebページとして公開できるようになる。InfoPathも強化され,Wordファイルに添付されるメタ・データを,Wordファイルの本文中から抽出する機能も追加される。例えば,請求書のWordファイルから,社名や日付を抽出し,それをメタ・データとして登録できるという。沼本氏は「Officeは単なるデスクトップ・アプリケーションから,コラボレーション・ツールやコンテンツ・マネジメント・ツール,ポータル・ツールへと進化している」とまとめた。