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 エヌ・エス・イーとアイ・エックス・アイは2月1日,情報漏えい防止ソフト「時限くん」の新版を発売した。同ソフトは,指定されたファイルを暗号化して,専用のクライアント・ソフト以外では開けないようにするもの。指定の時間に暗号化ファイルを削除するよう“時限”を設定したり,指定の回数以上ファイルが開かれた場合には削除するよう設定できることが特徴。新版では操作性を向上させるとともに,大規模企業向けのEnterpriseバージョンを用意した。

 時限くんは,ファイルを“時限化(暗号化するとともに削除条件などを設定すること)”する「時限くんライター」と,時限化ファイルを復号する「時限くんクライアント」で構成される。いずれもWindowsで動作する単独のプログラム。暗号化には共通鍵暗号のAESを使用している。ライターでは暗号鍵を作成し,その鍵を使って指定されたファイルを暗号化する。同時に,ユーザーが指定した削除条件(例えば「5時間後に削除する」「3回開いたら削除する」)をそのファイルに設定する。時限化するファイルの種類は問わない。

 時限くんライターのユーザーは,時限化したファイルと,そのファイルを暗号化した鍵のファイルをメールなどで相手に送る。送られた相手は,鍵ファイルを時限くんクライアントで読み込んだ後,時限化ファイルを開く。すると,時限化ファイルが復号され,元のファイルに対応したアプリケーション(例えばMicrosoft WordやExcel)で表示される。時限くんクライアントをインストールしていない環境や,対応する鍵ファイルを読み込んでいない環境では開けない。なお,同じ鍵(鍵ファイル)を繰り返し利用することもできる。

 時限くんクライアントはパソコンに常駐し,パソコン上の時限化ファイルを“見張っている”。パソコンに時限化ファイルがコピーされるたびに,そのファイルの削除条件を記憶し,条件が満たされたときに削除する。「単にゴミ箱に移動するのではなく,ファイルが保存されていたハードディスクの領域を無意味なデータで上書きして復旧できないようにする」(エヌ・エス・イーの事業企画開発部 セールスエンジニア 飯岡文吾氏)。「ファイルの暗号化により情報漏えいを防ぐ製品は他社も販売しているが,指定の条件で削除できるようにする製品はほかにはない」(事業企画開発部 部長の田口稔氏)

 時限くん自体は2004年12月から販売している。従来版の時限くんライターは,パソコンにインストールして,ユーザーがファイル一つひとつを時限化する“スタンドアロン”型。2月1日発売した新版バージョン2.0では,“時限化サーバー”上で一括して時限化などを設定・管理できるようにした「時限くんライターEnterprise」を用意。従来版のようなスタンドアロン型は「時限くんライターStandard」として,製品タイプを2種類にした。

 なお従来版については,2月1日から開催されているITの総合展示会「NET&COM 2006」で展示中。同社ブースでデモを実施している(写真は,時限くんライターの時限化ファイル作成画面)。