写真 NECが実証実験を開始したBBRideシステム
写真 NECが実証実験を開始したBBRideシステム
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 NECは1月30日,バスや列車の社内でブロードバンドを利用可能にする「BBRideシステム」の実証実験を開始した。京王自動車と山梨交通観光バスが東京・山梨間で運行するNEC社用バスの車両に無線LANルーターを設置。携帯電話網やPHS網などの無線インフラをアクセス回線に利用することで,高速移動する車内で公衆無線LANサービスと同等の通信環境を提供する(写真)。実験データを基にシステムや運用を改善。通信事業者や交通機関各社にBBRideシステムの採用を働きかける。

 BBRideシステムは,WAN側回線に使う通信モジュールを最大16個搭載可能な無線LANルーター「モバイルルータ」と,モバイルルータを収容する「ホームエージェント」から成る。乗客は車両内に設置したモバイルルータにIEEE 802.11b準拠の無線LANで接続。モバイルルータを通じてインターネットを利用する。モバイルルータは携帯電話網やPHS網および道路周辺の無線LANアクセス・ポイントなど利用可能な無線回線を電波状況に応じて選ぶ。

 実験の舞台となる社用バスは東京都府中市と山梨県甲府市を結ぶ中央自動車道を走行する。W-CDMAやCDMA2000 1xなど第3世代携帯電話を7回線利用した予備実験では,モバイルルータ-ホームエージェント間で下り約1Mビット/秒,上り250kビット/秒の平均スループットが得られたという。主要トンネルは携帯電話網のリピータが旧道路公団によって敷設済みのため,エリア・カバー率は100%となっている。

(高橋 秀和=日経コミュニケーション