ウィルコムは1月27日、PHSを使ったデータ通信サービスの通信速度を、最大408kビット/秒(bps)まで高速化すると発表した。新技術「W-OAM(WILLCOM-Optimized Adaptive Modulation)」を導入することで通信速度を現行サービスの1.6倍にする。ただし、月額料金は据え置く。2月下旬以降、東名阪などの大都市から利用できるようにする計画だ。

 同社のPHSはこれまで、「QPSK」と呼ぶ変調方式のみを利用していた。今回、「8PSK」という別の変調方式も使えるようにし、電波の状態に応じて最適な変調方式を選ぶW-OAMと併用する。8PSK方式で送信できる情報の量は、QPSK方式の1.5倍。W-OAMではパケットのヘッダー情報も現行サービスのものよりも減らしており、最終的に1.6倍の通信速度を実現できるという。

 現在、ウィルコムが提供しているデータ通信サービスの中で最も高速なのは、AIR-EDGE[PRO]コースの最大256kbps。W-OAMの導入によって、これが最大408kbpsになる。通信速度が最大128kbps、32kbpsの現行サービスも、それぞれ204kbps、51kbpsになる。高速なサービスを利用するためには、新サービスに対応した通信カードを使う必要があり、2月以降順次発売する。

 今回、8PSK以外に「BPSK」という変調方式も追加した。BPSK方式は通信できる情報量はQPSKの半分以下になるが、電波状態が悪い場合でも安定した通信が可能だという。

 また、2月1日から最大64kbps(8PSKを用いれば最大102kbps)のサービスを新しく始める。料金は、現行の最大32kbpsのサービスと同じで、月額6090円から。32kbpsサービスを利用しているユーザーは、設定を変更すれば64kbpsのサービスを利用できる。

 ウィルコムは2005年から音声通話の定額制といった新サービスを次々に投入し、着実に加入者数を増やしている。同社コンシューマ営業本部の土橋匡常務は、「2005年12月23日に、旧DDIポケット時代の累計稼働数である361万7000台を抜いた。1月末には370万台を突破するだろう」と好調を強くアピールした。