セールスフォース・ドットコムは1月24日,アプリケーションの実行基盤「AppExchange」を稼働させたと発表した。AppExchangeの最大の特徴は,セールスフォースがネット経由で提供している営業支援ソフト「Salesforce」に,他社が提供するWebアプリケーションを連携可能にする点。例えば,Salesforceで管理している自社の顧客データを「Google Map」の地図上にプロットできるようになる。

 日本ではまず20社が,AppExchange向けのWebアプリケーションを順次提供し始める予定。アプリケーションの種類は,データ分析,セミナーの予約管理,地図,音声通話(Skype)など。AppExchangeと各社が提供するアプリケーションとの連携には,Webサービスを使用する。

 AppExchange向けアプリケーションの提供を表明しているのは,ビジネス・インテリジェンス(BI)分野のソフトを開発・販売する日本ビジネスオブジェクツ,Skypeを提供するスカイプ ジャパンなど5社。日本ビジネスオブジェクツが提供するソフト「Crystal Reports XI for AppExchange」を使えば,Salesforceの顧客データを取り込んで分析する作業を容易にできるという。

 米salesforce.comの共同創業者兼テクノロジー統括責任者であるパーカー・ハリス氏は「ビジネスウェブ」という考え方を提示する。ビジネスウェブとは,企業ユーザーが広く使える共通のWebアプリケーションあるいはWebサイトのこと。「Amazon.comやGoogle,iTunes Music Storeのような,誰もが使える有用なWebサービスのエンタープライズ版を作りたい。そうしたサービスを提供するプラットフォームとして,AppExchangeを開発した」(ハリス氏)。

 ソフト開発ベンダーがAppExchange向けのアプリケーションをユーザーに提供するに当たって,セールスフォース側に手数料などを払う必要はない。ユーザーがAppExchange向けアプリケーションを使用する場合は有料。

 ハリス氏は発表会壇上のパソコンで,SalesforceとGoogle Mapとの連携をデモして見せた。Salesforceの顧客データから位置データを抽出し,それをGoogle MapのWebサービスに送信。Google Mapが生成した地図データをSalesforce側に取り込んで表示したものである。地図には顧客の位置がプロットされている。「SalesforceのユーザーはAppExchange向けのサービスを使うのに,システム側に手を入れる必要はない」(ハリス氏)。

 セールスフォースは24日,AppExchangeの発表と同時に,Salesforceの次期版「Winter'06」を提供開始した。ユーザー・インタフェースを改善したことに加えて,営業グループごとに顧客を別個に管理できる機能,売上予測の機能などを強化した。