オービックビジネスコンサルタント(OBC)は1月23日、同社の中国子会社が中国の大手会計パッケージ・ベンダーに出資したと発表した。OBCの主力製品であるERPパッケージ(統合業務パッケージ)「奉行」シリーズを、中国で販売するために必要なノウハウや販路を確保することが資本提携の狙いである。

 OBCが子会社を通じて出資したのは、「NEWGRAND SOFTWARE(新中大軟件股有限公司)」。中国の会計パッケージ市場で、シェア・売上高ともに第3位の企業である。OBCは出資金額を明らかにしていないが、中国子会社「Shanghai OBC Safe Software(上海欧比晟峰軟件有限公司)」を通じて、NEWGRAND SOFTWAREの株式の33.6%を取得した。Shanghai OBC Safe Softwareは、2004年4月設立。OBCが99.4%出資している。

 OBCは今回の株式取得を機に、「時期は未定だが数年後には中国企業向けに奉行シリーズを販売していきたい」(OBCの担当者)狙いだ。Shanghai OBC Safe Softwareはオフショア開発を狙って設立した会社のため、現在は日本向けにERPパッケージ「奉行新ERP」のカスタマイズを主業務としている。今回の資本提携によりOBCは、NEWGRAND SOFTWAREのノウハウを奉行シリーズの中国化に生かす目的がある。Shanghai OBC Safe Softwareだけでは対応できない、中国の法律や税制への対応などが、NEWGRAND SOFTWAREノウハウで可能になるとみている。NEWGRAND SOFTWAREの販路を利用して、中国市場で奉行シリーズを販売していくことも資本提携の目的の一つだ。

 奉行シリーズは日本語、英語、中国語と多言語対応に加え、ドルや元など多通貨対応をすでにしている。だが会計制度は日本のものにしか対応していない。OBCの担当者は、「今年のWindows Vistaの出荷に合わせて、奉行シリーズの新版を出す予定だ。この新版から、日系の中国企業にも販売を拡大していきたい」としている。