米Microsoftの内部文書によると,同社は2月22日に,Windows Vistaのコード・ツリーにあっと驚く追加を行うもようだ。この日は「テスター向けWindows Vista」リリース予定日の約1週間後に当たる。この内部文書によれば,MicrosoftがWindows Vistaに組み込むのは,Blu-ray Disc(BD)対応機能であるようだ。

 同社はこれまで,BD対応を否定してきた。ある企業の広報担当者も1月18日,筆者に以下のように話してくれた。「BDに関する開発計画は,Microsoftから1つも聞いていない。Windowsはプラットフォームなので,MicrosoftはWindows VistaにBD対応機能を組み込んだりするのは,他社の仕事であると考えている」。この広報担当者は,台湾Cyberlinkの提供しているWindows XP向けBD対応ビデオ編集・再生・メディア書き込み機能を例に挙げ,サード・パーティからWindows Vista向けBD製品が登場する可能性を私に指摘した。

 同じく1月18日,Microsoftは「Windows VistaでBDに標準対応する見込みは全くない」と発表した。同社は「BD対応の計画が100%存在しない」と述べ,「当社の顧客にとって最良の選択であることから,断固としてHD DVDフォーマット支持の立場を取る」とした。

 私の見た内部文書によると,当初BD対応機能は,Windows Vistaの1月後半のビルドに組み込まれる予定だったが,2月後半に延期となった。Microsoftは1月第3週までに,「コミュニティ技術プレビュー2月版(February CTP)」としてテスターに配布する予定のWindows Vistaのビルドを,まもなく完成できるところまでたどり着いている。このビルドには,「Windowsサイド・バー」や各種のマルウエア対策技術,パフォーマンスを損なわずに「Aero Glass」に対応できるリモート・デスクトップ機能など,新しい機能が搭載される予定だ。現在までに,Microsoft社内で60弱の開発チームがこのビルドに向けてコードを登録した。

【追記】

 なおこの記事を公開した後に,Windows VistaのBD対応について,Microsoftから明快な情報を得た。MicrosoftのWindows部門製品マネージャであるAdam Anderson氏は私に対し,以下のように述べた。「当社は『AutoPlay』という名称で,様々な光ディスク・フォーマットの映像メディアを検出する機能を加える。これによりOEMベンダー(パソコン・メーカー)は,パソコンに搭載するディスク・ドライブの種類を選べるようになる。HD DVDに対応したAutoPlayは既に実装済みで,BD対応のAutoPlayは検討中だ。この機能は,ドライブに挿入されたメディアの種類を認識するだけなので,BD対応AutoPlayを実装することは,Windows VistaでBDを標準対応するとか,Windows VistaをBD対応プラットフォームにするといった意味ではない。前にも話した通り,BD関連の機能はサード・パーティの開発者に任せる」。簡単にまとめれば,Windows VistaはBDメディアを認識できるなど,BDに対応する。しかし,標準構成のWindows VistaではBDの映像を再生できない。再生するにはサード・パーティ製ソフトウエアが必要となる。