マイクロソフトは1月19日、今年半ばに出荷予定の新サーバーOS「Windows Compute Cluster Server 2003」について、国内で初めて詳細を明らかにした。同社はこの製品により、従来は主にスーパーコンピュータなどが利用されてきたHPC(High Performance Computing)市場に参入する計画だ。

 Windows Computer Cluster Server 2003は、複数台のサーバーを使って並列処理を行うための製品。既存製品であるWindows Server 2003からWebサーバー機能などを削った「Windows Server 2003, Coupute Cluster Edition」と、ジョブ・スケジューラやリソース管理ツールなどをセットにした「Compute Cluster Pack」で構成される。

 1台の管理サーバー(Head Node)から、ネットワークで接続された複数台の処理サーバー(Compute Node)にタスクを割り当てる仕組みで、最大128台のシステムで利用できる。ただし、このシステムを使うには、アプリケーション側でもタスクを並列に処理する機能を実装する必要がある。

 マイクロソフトがこの製品で狙うのは、ローエンドのHPC市場。同市場では、スーパーコンピュータよりも、複数台のUNIXワークステーションを使った並列処理システム(クラスタリング・システム)を利用することが少なくない。最近では、Linuxを使った並列処理システムも多く、同社はWindowsでの参入が可能と判断した。

 今回、ローエンドHPC市場に参入する動機として、この市場が「今後、大きく成長する」(同社サーバープラットフォームビジネス本部Windows Server製品グループの中川哲マネージャー)との読みがある。これまでHPCは、もっぱら処理負荷の高い科学技術計算などで利用されてきた。しかし、「蓄積したPOSデータを解析して商品開発に役立てるといった、ビジネス分野での利用が増えてくる」(中川マネージャー)と見込んでいる。