NECは1月17日、電子カルテ・システムのブランドをNECシステムテクノロジーとNECグループの医療系システムの構築を担当するシーエスアイ(CSI)の3社で「MegaOak」に統一、同時にグループでサポート体制を整えることを発表した。NECは統一ブランドによる新製品「MegaOakHR」を6月に投入する。NECは現在、電子カルテ市場で富士通に続きシェア2位だが、「3~4年以内にトップになる」(岩波利光執行役員)戦略を打ち出した。

 MegaOakブランドの中核製品となるのが、NECの「MegaOakHR」である。MegaOakHRは病床数300以上の病院向けの電子カルテ・システム。施設間連携と医療事故などを防止する機能を充実させたことが特徴だ。施設間連携では、複数の病院や診療所でカルテや画像のデータや紹介状を電子化して共有できるようにした。セキュリティを確保するためのシングル・サインオンや電子署名、タイム・スタンプ機能も強化した。NECはこれらの機能を生かし、地域間で連携が進む医療機関のシステム基盤としてMegaOakHRを売り込む考えだ。「3~4年以内に、現在、30%強の電子カルテ市場のシェアを40%まで引き上げ、首位の富士通を追い抜く」(岩波執行役員)とする。

 MegaOakHRでは、医療事故を防止するための機能も加えた。医者や看護師が視覚的に分かりやすいようにユーザー画面を充実した。例えば、画面に患者の性別や年齢を表すアイコンなどを配置した。こうした機能は、「1年以上かけて、全国各地の医者や看護師にヒアリングした成果を反映したもの」(河渕博史医療ソリューション事業部長)である。

 MegaOakの価格は、1床80万円からで、300床の病院の場合は2億4000万円からとなる。岩波執行役員は、「医療分野はIT化が比較的遅く、成長の余地がある分野。NECグループで力を入れていく。現在、200~300人程度がNECグループ全体で医療分野の事業に携わっているが、これをいち早くグループ全体で1000人まで増やしていきたい」とする。