NECとNECシステムテクノロジー、独立系ソフト開発会社のシーエスアイ(北海道札幌市)の3社は、病院向け電子カルテ事業で提携すると発表した。3社がそれぞれ持つ電子カルテシステムのブランドを「MegaOak」で統一すると同時に、3社の製品間で機能連携も強化することで、販売・営業活動での相乗効果を狙う。

 今回のブランド統一に合わせ、NECは、主に300床以上の大病院に向けた電子カルテの新バージョン「MegaOakHR」を今年6月に製品化する。一方、中小規模病院向けの電子カルテ「HS-MI・RA・Is」を主力製品にするシーエスアイは、製品名を「MegaOak MI・RA・Is」に変更し、今後はデータ連携機能も追加する。NECシステムテクノロジーも同様に自社製品名にMegaOakを冠し、データ連携を強化する。

 シーエスアイは、NECとはオーダリング(処方などの指示)機能のエンジン部分の供給を受けている協業関係があったが、今回はブランド統一まで提携関係を深める。大病院向けのNECに、中規模・小規模の病院を主力にするシーエスアイとNECシステムテクノロジーを加えると市場シェアは24%に達する。提携を機に3社はシェア拡大に注力し、早期にシェア37%の富士通から首位を奪いたいとしている。このために、NECだけで3年間で250システムのMegaOakHRを販売し、年間売上高ベースで5割の事業拡大を目指す。

 拡販のために、販売や構築などを受け持つパートナーへの支援も強化する。NECが置く電子カルテのサポートセンターの陣容を拡大すると同時に、パートナー間では販社系と開発に強みを持つ企業とのチーム編成を促すなど、パートナー間の協業を後押しする。

 NECが6月に投入するMegaOakHRの第1の特徴は、同製品を導入する複数の病院間で電子カルテの共有する機能を実装したほか、ブランドを統一する2社の製品とも同等の機能を実現したこと。また3社の製品間で、画像や検査データを添付した上で、医師が自らの患者を別の病院に紹介する「電子紹介状」の機能も、段階的にリリースしていく。

 機能強化に加えて、1床当たりの導入価格を80万円と従来から20%コスト削減したことも特徴。新たにシンクライアントを用意するなど低価格のハードを用意したほか、標準化した導入手順や業務フローをあらかじめ用意することで、事前の打ち合わせ期間を3カ月から最短1カ月に短縮できるなど、構築にかかる人月を削減する手段を用意した。

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