大和証券SMBCは1月13日、三井住友フィナンシャルグループの株式を誤って売り注文を出したと発表した。

 大和証券SMBCは同日8時56分に、顧客からある銘柄の売却注文を受けた。この受注者が売買の執行担当者に注文を伝達する際に銘柄名が三井住友フィナンシャルグループと誤って伝わってしまった。担当者は8時59分に三井住友フィナンシャルグループ株を2万5000株、値段を指定せずに注文する「成行(なりゆき)」による売却注文を出した。同社は9時5分に誤発注に気付いて注文を取り消したものの、1万3417株の約定が確定。その後買い戻して、前場中にほぼ全株を約定、後場の開始直後に全株が約定した。

 大和証券SMBCは、実際に顧客から売買依頼された銘柄名を明らかにしていないが、該当株式の売買単位は1000株単位だという。一部報道では、三井住友海上火災保険株と報じている。誤って売却した三井住友フィナンシャルグループ株の売買単位は1株単位で、売却注文が確定した1万3417株の売却単価は113万円、売却総額は約150億円に達した。当初売却注文を出した2万5000株が同じ単価で売却されたとすると約280億円になる。同社広報によると、「注文が大きいのは確かだが、同等の規模の売買は珍しくない」。今回の誤発注による同社の損失は3億円前後と見られるが、「詳細は現在計算しているところ」(広報課)である。

 誤発注の原因は、受注者のアシスタントが紙の伝票を記入する際に銘柄とコード番号を間違え、そのまま執行担当者に伝達されたことにある。証券会社の発注システムは、売却数が極めて大きい場合には警告を出す仕組みになっているのが一般的で、今回も端末に警告が出ていたという。だが、この程度の規模の注文は珍しくないことから、注文を続行した。