NECは3月から、アプリケーション開発環境「SystemDirector Enterprise(SDE)」の外販を始める。昨春から進めている開発工数の半減を目指した「SI改革プロジェクト」の成果を基に製品化したもので、データ・モデルなどの設計結果からJavaや .NETのソース・コードやテスト・データを自動生成する。同社グループ内で「従来の手法よりも開発工数を3割削減できる」といった効果を実証した上で、外販に踏み切った。

 SDEは、(1)システムの設計・開発を支援するテンプレート、(2)設計データなどを一元管理するリポジトリ、(3)設計データを基にソース・コードなどを自動生成するジェネレータ、で構成される。まず、ユーザー・インタフェースのテンプレートを使って、システムの操作画面や入出力データ、画面の遷移などを定義する。次に、定義した画面やデータベースなどシステムを構成する要素同士を関係付けて、データの流れやビジネス・ロジックを定義していく。その結果はリポジトリで一元管理する。

 定義が終わったら、SDEはリポジトリの設計データを使ってソース・コードやテスト・データを自動生成する。加えて、単体テストまで自動で実行する。

 これまでもNECは、アプリケーション開発工数の削減に向けて、数々の統合開発環境を提供したり、作業手順や使用するツールを定めた開発標準を作ってきた。だが、渡辺正信システム技術統括本部長は、「依然としてムダな作業が数多く残っている。似たような画面やソース・コードを、何度もゼロから作っているのが実情だった」と話す。

 そこでSI改革プロジェクトでは、「設計データなどの流用度を高めたり、開発作業を可能な限り自動化することを目指した」(渡辺本部長)。その結果、生まれたのがSDEである。これまでNECが培った統合開発環境のノウハウをベースに、Javaと .NET Frameworkに対応させる、ソース・コードの自動生成機能を強化するといった強化を図った。

 NECグループでは現在、約10のシステム開発プロジェクトでSDEを利用している。企業名は明かしていないが、一部は既に稼働している。その結果、「同規模のシステムを従来の方法で開発した場合に比べ、開発工数が約3割、システム開発の原価率が約1割削減できた」と、渡辺本部長は話す。

 SDEの価格は400万円から。今後3年間で1500システムの販売を計画している。並行して、NECグループでの利用も広げる。今後、同社が受注する1億円以上のシステム開発プロジェクトのうち、少なくとも半分はSDEを使って開発する計画だ。