竹中総務大臣は新規参入3社に認定書を交付
竹中総務大臣は新規参入3社に認定書を交付
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 携帯電話/モバイルを取り巻く2005年は,激動の前触れの年となった。

 一番の目玉は,12年ぶりの携帯電話事業への新規参入が11月に認められたこと。ソフトバンク子会社のBBモバイルなど3社の申請が通り,2006年秋から2007年春にかけてサービスを開始する。既存3社に集約されてきた携帯電話事業者が一気に倍増することになり,料金やサービスの競争が活発になることが期待される。

 さらに,利用者が携帯電話の電話番号を変えずに契約事業者を変えられる「番号ポータビリティ」が2006年11月にスタートすることも決まった。“電話番号”で顧客をつなぎ止められなくなることから,2006年に携帯電話事業者各社は囲い込みのための施策を推進する。

 携帯電話端末を見ると,2005年は国内の“スマートフォン元年”。2005年7月にNTTドコモが「FOMA M1000」を,さらに12月にはウィルコムが「W-ZERO3」を発売し,国内でも本格的なスマートフォンを入手できるようになった。FOMA M1000はSymbian OS,W-ZERO3はWindows Moblieとそれぞれ搭載するOSは異なるが,既存の携帯電話に比べると業務アプリなどの実装に対する自由度が高い。

 地上デジタル放送の携帯端末向けサービス「ワンセグ」は,2006年4月にスタートが決定し,ワンセグ対応の携帯電話も発売になった。電子マネーの「Edy」などが使える「おサイフケータイ」も徐々にユーザーに浸透している。先行したNTTドコモでは11月におサイフケータイの契約が700万を超えた。加えてKDDIが9月から,ボーダフォンが11月からサービスを開始し,携帯電話3事業者から端末とサービスが出そろった。2006年1月28日にはJR東日本が携帯電話を定期券や乗車券,電子マネーに使えるようにする「モバイルSuica」を開始する予定で,普及への期待はさらに高まる。

 事業者の衰勢が明らかになった1年でもある。PHS事業者では,地域ごとにサービス中止が進んでいたアステル・グループに続き,NTTドコモが4月に新規受け付けを中止した。約10年前に“新規参入”したPHS事業者3グループのうち,生き残ったのはウィルコム(旧DDIポケット)だけという結果になった。そのウィルコムは,「音声定額」「データ定額」など相次ぐサービスや端末の強化で復活を遂げた。携帯電話のツーカー・グループはKDDIが吸収合併して事業を続けることになった。

 ライブドアの進出で,公衆無線LANサービスが活性化したのも2005年のトピック。ソフトバンク-日本テレコムやNTTグループも,公衆無線LANサービスの見直しを進めた。無線LANよりも広域な高速無線サービスが可能なWiMAXは,YOZANが12月にサービスを始めた。モバイル通信を担う方式はさらに多様化する時代に突入し,既存の携帯電話との境界線が徐々に薄れつつある。

◆12年ぶりに携帯電話事業に3社が新規参入
TBSがイー・アクセス子会社に100億出資,3Gサービスを共同展開(8月31日)
携帯の新規参入,総務省がソフトバンクなど3社に割り当て(11月9日)
携帯電話へ新規参入の3社に竹中総務相が認定証を授与(11月10日)
携帯新規参入のイー・モバイル,吉本興業からの出資を受け入れへ(11月10日)
3社が新規参入する3Gケータイ,低料金と多様なサービスに期待(11月17日)

◆番号ポータビリティが2006年11月開始へ
携帯電話の番号ポータビリティは来年11月,総務省が改正省令案公表(11月22日)

◆国内にも“スマートフォン”が登場
NTTドコモのビジネスFOMA端末,無線LANやフルブラウザ搭載(4月14日)
NTTドコモ,PDA型FOMA端末を7月1日に発売(6月20日)
アプリを追加してカスタマイズ,ドコモは実用アプリを提供(8月4日)
Windowsスマートフォン,日本国内で発売へ(10月17日)
ウィルコムがWindows Mobile端末発売,公衆無線LANも導入(10月20日)

◆企業向けの携帯電話利用ソリューションが充実
携帯電話を業務用データベース端末に,Symbian向けOracleを参考展示(5月20日)
米セールスフォース,KDDIと提携し,携帯電話向けサービスを開始(6月13日)
インテリシンク,グループウエアと同期できる携帯電話用クライアントを強化(8月31日)
グループウエアをリアルタイムで携帯と同期,ボーダフォンが新サービス(12月15日)

◆始まるワンセグ対応,広がるおサイフケータイ
地デジワンセグ対応FOMA端末「P901iTV」,ドコモが年度内発売へ(9月27日)
ドコモに続きauがPush to Talk発表,ワンセグ放送対応機も投入(10月24日)
携帯向け放送「ワンセグ」に通信事業者は気乗り薄?(10月26日)
KDDIも「おサイフケータイ」,発売は9月,Suica実験も今秋開始(7月11日)
ドコモのおサイフケータイに新機能,クーポンやお得情報を自動取得(9月14日)
ボーダフォンも「おサイフケータイ」,秋冬向け新機種も発表(9月20日)

◆起死回生のウィルコム,料金・サービスを充実
月2900円でPHS間通話がかけ放題,ウィルコムが5月開始(3月15日)
CATV網上でのPHSサービス実現へ,ウィルコムとJ-COMが共同開発(8月31日)
ウィルコムが企業向け新サービス,携帯事業者の「モバセン」を追撃(9月1日)
ウィルコム,PHS電話機4機種を11月から順次発売,データ通信の定額制新料金も(9月27日)
ウィルコムが来年度にカバーエリアを大幅拡大へ(10月19日)

◆PHSサービス相次ぎ終了,ツーカー・グループ合併
NTTドコモがPHS新規受付を停止,2年程度でサービス終了へ(2月28日)
KDDIがツーカー3社を吸収合併,四半期決算は当期利益が増益(7月25日)
アステル・グループの全事業者がサービス終了を表明(7月28日)

◆始動近づくWiMAXサービス
KDDIがモバイルWiMAXの伝送実験に成功,今後は性能評価を実施(6月29日)
ソフトバンクもWiMAXへの取り組みに本腰,ノーテルとLG電子が協力(10月25日)
モバイルWiMAXを可能にする「IEEE 802.16e」の標準化が完了(12月8日)
YOZANが国内初のWiMAX接続サービスを東京23区で開始(12月26日)

◆変ぼうする公衆無線LANサービス
ライブドアが月額525円の公衆無線LAN,「Yahoo! BBショック」の再現狙う(6月15日)
【続報 ライブドアの公衆無線LAN】YOZANのVNOとして1都8県へ展開(6月17日)
NTTグループ,公衆無線LANサービスのインフラを統合へ(7月11日)
ソフトバンクBBと日本テレコム,公衆無線LAN「BBモバイルポイント」開始(8月29日)
ライブドアが公衆無線LANサービスの有償化を再度延期,とまどう提携各社(10月26日)