12月8日にみずほ証券がジェイコム株を大量に誤発注し巨額の損失を出した件で、東京証券取引所は12月11日、株式・CB売買システムに不具合があり、みずほ証券からの注文取り消し指示を受け付けられなかったと発表した。

 東証が不具合としたのは、新規上場銘柄の初値が決定した際に設定される売買価格の制限値幅を超える注文(みなし処理)に対し、約定(取引の成立)処理が実行中には注文の取り消しができなかったこと。新規上場銘柄であることと、みなし処理が発生するほどの大量注文であることの二つの条件が重なった場合にのみ発生する不具合だった。

 問題の注文処理は、みずほ証券が12月8日に新規上場したジェイコム株を「61万円で1株」とするところを、「1円で61万株」と誤って入力して売り注文を出したのが発端。当時、ジェイコム株は67万2000円での買い希望があったため、みずほの誤入力により売買が成立。同時に、制限値幅(上下10万円)が設定され、同社株は57万2000円から77万2000円の間でしか売買できなくなった。みずほの誤発注は以後、57万2000円での売り注文とみなされ処理が継続。みずほの注文取り消しが実行されなかったため、買い注文を消化する形で処理が継続した。

 東証は「今後はあらゆるケースを想定して十分な精査を行い、不具合を生じることがないように努める、不具合については、売買システムの開発担当者の富士通の協力を得て、早急に詳細原因の徹底分析を行う」とのコメントを発表。同社経営企画部は、「(今回の取引状況は)レアケースだが、売買システムの設計が、こうしたケースまで想定していたかどうかは現時点では分からない。これから調査を進める」としている。

 これまで、東証は取り消し注文が実行されなかった理由を、「みずほ証券が取消注文の値段にみなし処理後の値段を指定しなかったため」と説明してきた。11日になって、システム不具合の存在を認めたことで、東証は「関係者の皆様にご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。12月11日午後7時からの会見では、鶴島琢夫社長が、来年6月までの任期を待たずに「進退問題も含めて検討する」と、自らの辞任についても言及した。

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