総務省は12月8日、市町村の業務システムにかかっているコストについての調査結果の速報を発表した。総務省の外郭団体である地方自治情報センターのWebサイトで、PDF形式のファイルを公開している。

 調査名称は「市町村の業務システムの導入及び運用に要する経費等の調査」。今年9月29日から11月30日の間、計2172の東京特別区と市町村のうち、合併を今年度後半に控えた自治体を除く1965自治体を対象に実施。現時点で回答を得た1785自治体の回答をまとめ、速報として公開した。残る180市区町村についても、今年一杯をメドに回答を得て、集計次第結果を公表する計画である。

 今回の調査では、各自治体における住民情報関連や税、情報公開、グループウエアなど、28の業務システムを対象とした。調査項目は各システム導入・運用・保守のそれぞれのフェーズで生じたコスト、パッケージ活用の有無、稼働年月、再構築スケジュール、委託先ベンダーなど。

 調査を実施した総務省自治行政局自治政策課の牧慎太郎情報政策企画官は、「類似した産業構造や人口を持つ自治体が、相互にこの調査結果を参照することで、システム・コストの適正化に向けた目安となる」と、調査の目的を説明する。「自治体にシステムの適正コストを知ってもらうことで、予算の前年踏襲主義から脱却して欲しい」(同)。

 総務省は自治体に対しては、コストの観点でのソートや分析をしやすいように、Excel形式のデータを配布する。一般向けにExcelではなくPDF形式のデータを公開するのは、ベンダーの営業目的で安易に利用されるのと、改ざんを防ぐため。総務省では「大学や民間企業などから、公益性のある研究に利用目的を限定した申請があれば、Excelデータを渡す」(同)としている。