米国電気電子技術者協会(IEEE)の一組織であるIEEE-SA(Institute of Electrical and Electronic Engineers Standards Association)は米国時間の12月7日,モバイルWiMAXを可能にする標準規格「IEEE 802.16e」を正式に承認したと発表した。規格内容の正式なリリースは,年内に行う予定だ。

 「モバイルWiMAX」とは,IEEE 802.16e技術を利用した無線ブロードバンド方式の通称である。携帯電話並みのカバー・エリアと使い勝手で,無線LAN並みの通信速度を実現。移動中の携帯端末などからも利用できるよう,WiMAXの用途を拡大する。IEEE 802.16eの標準化により,変調方式などが固まったため,ディジタル・データを通信信号に変換する「ベースバンド・チップ」の開発が大きく進むことが予想される。

 ただしIEEE 802.16eの標準化によって,すぐに基地局や端末が登場するというわけではない。ハンドオーバーの実現や高速移動時の電波の補正など,IEEE 802.16eで決めた標準では足りない部分もあるからだ。そうした技術の標準化を,WiMAXフォーラム内で現在作業している。

 なお日本では,2.5GHz帯をモバイルWiMAXなど無線ブロードバンド用途に割り当てる見込み。2006年初頭から議論を開始する予定だ。KDDIやソフトバンク,イー・アクセスなどが,割り当てに名乗りを上げる可能性が高い。