ブログに対する企業システム担当者の認識が変わり始めている。当初は,個人の生活をつづる日記として認知度が高まったブログだが,これを企業システムに組み込むことを検討している企業ユーザーが増えている。1)Webを簡単に更新する利便性と,2)コメントやトラックバックによる双方向性を生かし,企業内外のコミュニケーション・ツールとして使いたいとの声があちこちで聞かれる。この傾向は特に日本で顕著であり,ブログ技術の提供企業であるシックス・アパート代表取締役社長の関信浩氏は,「欧米に比べて明らかに,日本の企業ユーザーの方がブログ利用に対する関心が高い」と言い切る。

 企業利用の目的は二つに分けられる。1つは,一般消費者の声なども取り入れて情報発信するマーケティング・ツールとしての使い方,もう1つは企業内の情報共有ツールとしての利用である。このところ,後者の利用方法を検討する企業が増えており,今回,オラクルとシックス・アパートがイントラネット向けのソリューション提供に向けて協業を発表した。オラクルの林徹氏(システム事業統括 アドバンストソリューション本部 本部長)は,「製造業をはじめ,社内の情報やノウハウ共有にブログを利用したいとの声が高まっている」と,今回の協業の背景を語る。

 両社は,データベース管理ソフト「Oracle Database」およびミドルウエア群「Oracle Fusion Middleware」上で動くブログ・ソフト「Movable Type」を開発し,ベータ・テストの受付を始めた(ベータテスト申し込みページ)。これにより,ブログ・ソフトとファイル管理やメール,スケジュールといった各種アプリケーションを連携させたり,一元管理が可能になる。

 シックス・アパートは,米Six Apart Ltd.の日本法人である。この10月から,日本企業の要望に応えて,法人向けのシステム開発拠点を日本に移していた。関社長によれば今後1年間で,500社にブログ・ソフトを販売するとの計画を明らかにし,「決して不可能な目標ではない」と強気の姿勢をみせた。実際,大手小売業者が同社のブログ・ソフトを利用したイントラネット環境を構築中だという。本部の商品企画部門と各店舗の間における情報共有に,ブログ・ソフトを用いる。こうした企業ユーザーの声があればこそ,同氏も強気になれるようだ。