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 エージーテックは12月6日,Windows上の既存アカウントに対するパスワードをブランク状態にリセットする管理者向けツール「Passware」シリーズの販売を開始した。前任の管理者が退職してパスワードが分からなくなった場合や,司法や警察が犯人などから証拠品として押収した端末に強制ログインする場合に利用できる。エストニアのPasswareが開発したツールで,表示されるメッセージなどは英語のままだが,日本語アカウント名には対応済みである。

 Passwareシリーズには三つの製品がある。(1)Windows 2003/XP/2000/NTのローカル・アカウントのパスワードをリセットしたり,ローカル・ポリシーを初期化したりすることができる「Windows Key」,(2)(1)の機能に加え,Active Directoryなどのドメイン管理者(Domain Controller Administrator)のパスワードをリセットできる「Windows Key Enterprise」,(3)(2)の機能に加え,データ・ファイルや暗号ストレージ,アプリケーション・システムのパスワードを解析する機能を備える「Passware Kit Enterprise」である。

 (1)と(2)を利用する方法は,次の通りだ。まず,Passwareを導入した端末上でウィザードを実行し,パスワードをリセットする対象マシンの起動に使う専用メディアを作成する。専用メディアとしては,CD-ROM(ブータブル形式),フロッピーディスク(別途用意した起動ディスクと組み合わせて利用する形式),USBメモリー(ブータブル形式だが対応マシンでなければ使用できない)を選択できる。次に,作成した専用メディアを利用して対象マシンを起動すると,画面にアカウントの一覧が表示されるので,パスワードをリセットしたいものを選ぶ(写真)。

 (1)と(2)によるパスワードのリセットは100%保証されるが,(3)による解析は保証されず,サポート対象外となる。(3)で解析できるアプリケーションには例えば,Adobe Acrobat,Excel/Word/PowerPoint,ZIP,SQL Server,Lotus Notes,Encrypted File Systemなどがある。解析は,辞書か総当たり,または両者の組み合わせを選択できる。総当たりの場合には解析時間の短縮のために試行する文字列長などをあらかじめ制限することも可能だ。

 Windows XPには,「パスワード・リセット・ディスク」の作成機能が搭載されているが,あらかじめディスクを作っておく必要がある,ローカル・アカウントのパスワードしかリセットできない,という制約がある。Passwareシリーズは,リセットできる対象OSが広く,事前準備が不用な点が特徴だ。

 エージーテックは従来,同種の機能を搭載するツールとして米Winternals Softwareのシステム修復ツール「ERD Commander」(7万円台~)を提供していたが,ユーザーの購入動機の多くはパスワードのリセットにあると分析。機能を絞り込んだPasswareを取り扱うことにした。価格は,(1)がパッケージ版で税込み3万7800円(ダウンロード版は同3万4650円),(2)が同5万6700円(同5万2500円),(3)が同9万6600円(同8万8200円)。

(実森 仁志=日経システム構築)