説明を行うKDDIの山本雄次 渉外・広報本部渉外部企画グループ課長(右)と,篠原聡兵衛 渉外・広報本部渉外部企画グループリーダー次長(左)
説明を行うKDDIの山本雄次 渉外・広報本部渉外部企画グループ課長(右)と,篠原聡兵衛 渉外・広報本部渉外部企画グループリーダー次長(左)
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 KDDIは11月30日,「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」の検討アジェンダを募集するパブリック・コメントを総務省に提出した。提出後,同社は記者説明会を開催(写真)。その席で,NTTグループが11月9日に発表した中期経営戦略について,「これはNTTを一社体制下の独占事業体に戻すもの。今回のテーマはIP化時代の新ルールだが,NTTの事業再編に対するKDDIの考え方を強烈に反映させた。競争促進のためにNTTグループの完全資本分離などを議論するべきだ」(山本雄次 渉外・広報本部渉外部企画グループ課長)とぶち上げた。総務省には,検討アジェンダの案に加え,NTTの中期経営戦略に対するKDDIのスタンスをまとめた資料を提出したという。

 NTTグループは,中期経営戦略のロードマップとして事業会社間の重複事業を解消するための事業再編や,東西NTTとNTTドコモが共同で次世代ネットワークを構築することなどを発表している。これに対しKDDIは,総務省に提出した資料の中で,「NTTの中期経営戦略は,グループ内連携の拡大と,独占的な市場支配力の強化につながる」と懸念を表明。「1999年のNTT再編だけでなく,それ以前のNTTドコモ分離の趣旨にまで反する」,「次世代ネットワークを東西NTTとNTTドコモが構築し,シームレスなサービスを提供することは競争の制限につながる」とし,持ち株会社の廃止と,東西NTTやNTTコミュニケーションズ,NTTドコモ,NTTデータの完全資本分離,もしくは,東西NTTがアクセス部門を分離すること,などを強い調子で主張している。

 総務省によるパブリック・コメントの募集はが30日17時に締め切ったが,KDDIだけでなくソフトバンクや東西NTT,イー・アクセスなどの主要な通信事業者が意見書を提出した。総務省はこれらを12月2日に公開する予定。提出された意見を踏まえて,12月21日に予定されている「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」の第二回会合で,今後の検討アジェンダを決定する。

総務省はこの懇談会の中で,NTTの事業再編についても取り上げる意向のようだ。NTTの中期経営戦略についてはKDDI以外にもソフトバンクやイー・アクセスが既に懸念を表明しており,NTTと他事業者が直接話し合う場も持たれる予定である。