RitaOfficeの画面。WindowsとLinuxのターミナル・サーバーの画面を同時に表示させている。通常はどちらかを全画面に表示して利用するため,あたかもローカルでOSが稼働しているように使用できる
RitaOfficeの画面。WindowsとLinuxのターミナル・サーバーの画面を同時に表示させている。通常はどちらかを全画面に表示して利用するため,あたかもローカルでOSが稼働しているように使用できる
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 NTTデータはシンクライアント・システム「RitaOffice」を開発した。LinuxとWindowsサーバーの画面を,Linuxシンクライアントに表示し操作できる。ローカルにストレージを持たず,通信も暗号化することでセキュリティ向上と管理コスト削減を狙う。クライアントOSをLinuxとし,オープンソース・ソフトウエアを活用することでライセンス・コストの削減と自動アップデートが実現できたという。すでにNTTデータ社内での利用も始めている。

 Windowsをターミナル・サーバーとした場合,米Citrixの「MetaFrame」と同様な用途に使用できる。その場合,Windows Server 2003をサーバーとし,Linuxクライアント上でTerminal Serverのクライアント・ソフト「rdesktop」を使用する。rdesktopはオープンソース・ソフトウエアであり,ライセンス料は不要なため,MetaFrameに比べ低コストという。

 MetaFrameは,Terminal Serverに比べて通信データの圧縮効率が高い。そのため「映像などマルティメディア・アプリケーションを使用する場合はMetaFrameのほうが優れている。しかし,LANでオフィス業務を行うのであればTerminal Serverでも支障はない」(NTTデータ)という。

 シンクライアントのOSとしてはWindows XP Embeddedを採用しているメーカーも多い。RitaOfficeでは,Windows XP Embeddedもクライアントとして使用可能であることを検証しているが,Linuxを標準クライアントOSとして採用した。「Windows XP Embeddedシンクライアントではユーザーがシステムを更新できないようにしており,Windows Updateのようにネットワークでシステムを自動アップデートできない。セキュリティ・ホールや不具合があった場合,作業員が1台1台アップデートを行わなければならない」(NTTデータ)

 RitaOfficeでは,クライアントはハードディスクなどの記憶装置は持たない。HTTP-FUSE KNOPPIXをベースにしており,サーバーからOS自体をダウンロードして起動する。そのため,サーバー上のイメージを更新するだけで,すべてのクライアントOSを最新版にすることができる。

 Linuxをサーバーにする場合はVNCと呼ばれるオープンソースのリモート・コントロール・ソフトウエアを利用する。同じくオープンソース・ソフトウエアであるNXの採用も検討したが「NXは通信データの圧縮率は高いが,サーバーCPUの負荷が高いことからVNCを採用した」(NTTデータ)

 RitaOfficeはクライアント,LinuxおよびWindowsのターミナル・サーバー,ネットワーク・ブート・サーバー,ファイル・サーバー,負荷分散サーバーで構成される。負荷分散機能はNTTデータが開発したもの。クライアント起動時に,複数のターミナル・サーバーの中から負荷の低いサーバーにアクセスを振り分ける。これにより,サーバーを増設すればクライアントの台数に応じたスケールアウトが可能としている。