MVNO協議会の会長に就任した日本通信の三田聖二社長
MVNO協議会の会長に就任した日本通信の三田聖二社長
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行政側の意見を述べる総務省総合通信基盤局の大橋秀行データ通信課長
行政側の意見を述べる総務省総合通信基盤局の大橋秀行データ通信課長
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総務省の大橋課長のプレゼンテーションの一部
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 テレコムサービス協会(テレサ協)は11月29日,設備を持たずに携帯電話サービスを提供するMVNO(Mobile Virtual Network Operator)について話し合う「MVNO協議会」を発足した。携帯電話やPHS事業者から移動体設備を借りた企業が,事業者と同等のサービスを提供することが目的。テレサ協は協議会での話し合いを基に,総務省や携帯電話事業者への働きかけを行う。現時点では,データ通信サービスでの利用を想定している。

 MVNO協議会の会長には日本通信の三田聖二社長が選出された(写真1)。三田会長は協議会後の講演会の冒頭,「なぜ,モバイルのサービスは設備を打つ通信事業者しか提供できないのか。これは通信事業者に非があるわけでなく,たまたまそういう状況であるに過ぎない。ユーザーへのソリューションを提供するには,モバイルの必要性がますます高まっている。行政にも協力してもらって,MVNOが利用しやすい道を作りましょう」と,MVNOの置かれている現状と協議会の目的を説明した。

 三田会長に続いて,総務省総合通信基盤局の大橋秀行データ通信課長が登壇。通信行政の側からMVNOの方向性を述べた(写真2)。大橋課長は「MVNOは産業構造上,興味深い。携帯電話の新規参入事業者にとって,MVNO事業者は新しい利益をもたらす提携相手となり得る。インターネット接続事業者やケーブルテレビ事業者がMVNOを利用して携帯電話のサービスに取り組むようになるだろう。」と,MVNOの様々な可能性について言及(写真3)。さらに携帯電話事業者などとのコンセンサスが必要との前提ながら,「具体的な事業モデルをもとに,制度的な対応をいかに進めるのか考えたい」(大橋課長)と発言。MVNOの利用ルール整備に前向きな考えを示した。

 現在のところ,MVNOを提供しているのは,PHSのウィルコムだけ。携帯電話会社のNTTドコモやKDDIは,電波帯域に余裕がないとしてMVNOの提供には否定的。ボーダフォンはMVNOの提供を検討しているが,現時点では明確な計画を見せていない。ただし,KDDIやボーダフォンは一部の会社に,回線の再販などの形態でサービスを提供しているケースがある。協議会や総務省はMVNOサービスの定義や携帯電話事業者がサービスを提供できる条件を明確にしたい考え。

 MVNO協議会に参加するのは,自社で携帯電話やPHSのネットワークを持たない通信事業者やネットワーク・インテグレーターなど22の企業や団体。NEC,アッカ・ネットワークス,インターネット総合研究所,インテック,京セラコミュニケーションシステム,サイバード,双日,ソニーコミュニケーションネットワーク,日商エレクトロニクス,ニフティ,日本通信,富士通,フュージョン・コミュニケーションズ,ヤマハなどが幅広い業種の企業が参加している。