米マサチューセッツ州や他の政府自治体が新しいオープン・ソースを基盤とする文書ファイル形式に移行し,MicrosoftのOfficeを採用しない動きが出ている。Microsoftはそれに対応して,Office次期版の「Office 12」(開発コード名)で採用するXML(拡張マークアップ言語)ベースの文書フォーマットを標準規格化していくことを11月22日(米国時間)に明らかにした。同フォーマットは「Open XML」と呼ばれ,標準化団体Ecma International(本部スイス)に申請する予定。Ecmaは,2006年遅くのOffice 12発売までにOpen XMLを認定する見込み。

 今回の標準規格化で,Microsoftは,同社がオープン・ソース系のOpenDocumentフォーマットの採用を拒んでいるという批判をかわす狙い。同フォーマットは,Office 12でサポートされるOffice独自フォーマット,Adobe SystemsのPDF,Open XML——と競合する文書ファイル形式。マサチューセッツ州などが,OpenDocumentを採用するため,対策を迫られていた。マサチューセッツ州の上院議員のMarc Pacheco氏は,MicrosoftがOpen XMLをオープンな標準規格にすれば,同州がOpenDocumentとともにOpen XMLの採用を考慮すると発言している。

 今回の標準規格化には,米Sun MicrosystemsのStarOffice(日本ではStarSuiteの名前で販売)などの競合製品が互換性を高めやすくなるという効果もある。企業や団体もそうした製品を選択して,互換性を確保することが可能性になる。これまで競合他社は,Microsoft独自のフォーマットを解析して,自社の製品に互換性を確保していた。基本的に十分な互換性があったが完全ではなかった。