「プレイステーション 2」,初代「iPod」,「Xbox」…。日経エレクトロニクスの「分解班」はこれまで数々の機器を解体し,分析してきた。今回のターゲットは米Microsoft社が米国で2005年11月22日に発売した「Xbox 360」。担当するのは,シリコンバレー支局の蓬田記者とPhil Keys記者である。

 今回のプロジェクトはいきなり難航した。これまでの経験からいって,発売日の早朝に並べば難なくXbox 360を購入できるはずだった。ところが今回は勝手が違った。大手量販店の前には前日の夜から人の列ができていたのだ(Tech-On!の関連記事1)。消費者の関心が,思いのほか高いことを象徴している。あわてた蓬田記者は,厳寒の中,深夜3時半から並んだ。ところが,朝8時半の開店後,売り場にたどり着くまでに在庫がなくなってしまった。これはマズい…。

 それから八方手を尽くして,なんとか入手したXbox 360(Tech-On!の関連記事2)。シリコンバレーに駐在している日本国内のメーカーの技術者らが待つ分解会場に運んで,早速開けてみた(Tech-On!の関連記事3)。本体を箱からそうっと取り出し,ほかの中身も出していく。箱の下のほうから出てきた電源アダプタの大きさには仰天した。

 さて,いよいよ本体とコントローラの分解である。中から現れたのは,巨大なヒートシンクと,思いのほか整然と部品が実装されたメイン・ボードだった(Tech-On!の関連記事4。閲覧には,Tech-On!専用の無料ユーザー登録が必要)。Xbox 360のメイン・ボードには,中央部分に米IBM社製で3.2GHz動作のカスタム・マイクロプロセサが実装されており,そのすぐ隣に,多数の太めの配線パターンで相互に接続されたグラフィックスLSIがあった。このほか周辺には,韓国Samsung Electronics社製のGDDR3シンクロナスDRAMなどがある。

 技術者たちが驚いたのは,マイクロプロセサの周りに並んだカップリング用とみられるコンデンサの数だった。グラッフィックスLSIのパッケージにも,電源平滑用のコンデンサが多数実装されている。電源の雑音対策にはかなり手を焼いたようだ。分解班の作業はその後も続いた---(その後の分析などについては,「日経エレクトロニクス」の2005年12月5日号に掲載予定です)。