写真1●パネル・ディスカッション「OSSをどう捉えるか?地方でOSSに取り組む意義は?」
写真1●パネル・ディスカッション「OSSをどう捉えるか?地方でOSSに取り組む意義は?」
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写真2●新潟オープンソース協会が作成したNiigata Linux
写真2●新潟オープンソース協会が作成したNiigata Linux
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写真3●沖縄出身で,DIコンテナSeasar2を開発したひがやすを氏による講演
写真3●沖縄出身で,DIコンテナSeasar2を開発したひがやすを氏による講演
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写真4●オープンソースカンファレンス2005 Okinawa展示会場。200名以上が来場した
写真4●オープンソースカンファレンス2005 Okinawa展示会場。200名以上が来場した
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 「地方だから東京に比べて人件費が安いといっても,中国などのオフショアとコストで競っていては疲弊する。オープンソースはパッケージ・ベンダーに脱皮する足がかりになる」---「オープンソースカンファレンス2005 Okinawa」(OSC2005 Okinawa)が11月19日,沖縄県那覇市で開催され,「地方でOSSに取り組む意義」についてのパネル・ディスカッション(写真1)などが行われた。

 パネル・ディスカッションは「OSSをどう捉えるか?地方でOSSに取り組む意義は?」と題して行われ,沖縄を拠点とするオープンソース推進 特別非営利活動法人OSPI(Open Source Promotion Institute)の平川隆之氏,長岡技術科学大学 助教授で新潟オープンソース協会 湯川高志氏,OSPI/NEC 大木一浩氏,OSDL/日立製作所 橋本尚氏,イーサー吉岡博氏,OSPI/日本SGI 高澤真治氏が議論。

 平川氏は「地方でのオープンソース・ソフトウエア採用は増えているが,ITの需要そのものが少なく,少ない仕事を地方のITベンダーが取り合う形になっている」と指摘。長岡技術科学大学 助教授で新潟オープンソース協会 湯川高志氏も「現状では地方のIT企業は下請け的な仕事が多い」との現状認識を示す。その状況を打破するため「新潟オープンソース協会がコアとなるプロダクトを提供して,それを各に地方の企業が優位性を出していく」という構想と実際の取り組みを紹介した。

 新潟オープンソース協会が作成したNiigata LinuxはLinuxディストリビューションであると同時に,Windows上にPHPとPostgreSQL,Apacheを導入するインストーラでもある(写真2)。CDをWindowsパソコンに挿入すると,Windows上にPHPとPostgreSQLなどがインストールされる。WindowsユーザーがPHPとPoatgreSQLのアプリケーションを容易に開発できるようにと作成した。

 湯川氏は「オープンソースは下請けからパッケージ・ベンダーへと脱皮するための足がかりになる。ライセンス料が無料のため資本が少ない企業でも取り組みやすい。たとえパッケージが売れなくとも金銭的な損失は小さく,労力がかかったというだけですむ」と,オープンソース・ソフトウエアを使用する利点を説明した。またNECの大木氏は「中国の技術者でもコントローラとなる人間が介在すればコストは跳ね上がる。日本人でも優秀な技術者であれば十分戦える」と指摘した。

 またこのほか,沖縄出身で,DIコンテナSeasar2を開発したひがやすを氏による講演「Next Generation Dependency Injection」(写真3),可知豊氏による「あらためて知っておきたい。オープンソースとは何なのか」,Open Source People Networkの平初氏による「Linuxディストリビューションの選び方」,OpenOffice.org日本ユーザ会 中本崇志氏による「OpenOffice.orgを使ってみませんか?」,日本PHPユーザ会と日本PostgreSQLユーザ会の小山哲志氏による「PHP+PostgreSQLによるWeb+DB構築入門」,日本Sambaユーザ会でNECの太田俊哉氏による「Sambaによるファイルサーバ構築入門」,日本Zopeユーザ会/Plone研究会の加藤 賢哉氏による「Ploneで作るコミュニティサイト」,日本ヒューレット・パッカードの赤井誠氏による「トラブル対策と運用の秘訣」,ワイズノットの三島匡史氏による「企業におけるオープンソース~ビジネスとエンジニア育成~」,三菱総合研究所の飯尾淳氏による「OSSを利用した高度情報処理技術者教育について」などのセッションも行われた。また通常パソコンで行っているLinux認定技術者試験LPICを,紙で行う「LPIC 一斉ペーパーテスト」も実施された。

 会場には200名以上が来場(写真4)。主催したオープンソースカンファレンス実行委員会では「今回は第0回との位置づけだが,予想以上の来場があった。来年以降も継続して開催していく」と話している。