マイクロソフトと三菱総合研究所は11月18日、大学におけるIT活用の課題を討議する会合「大学CIOフォーラム」を開催した。東京大学、京都大学、慶應義塾大学など「国内有名大学のCIO(最高情報責任者)が一堂に会して討議する機会は初めて」(マイクロソフトの大井川和彦執行役員)。来日している米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOが司会を務めた。

 会合では、青山学院大学、慶應義塾大学、京都大学、筑波大学、東京大学、東京工業大学、広島大学、立命館大学の8大学のCIOがIT活用における課題を発表した。例えば、京都大学の松山隆司氏(情報環境機構長・教授)は、「大学のIT環境は企業と大きく異なる複雑さを備える。このため、企業の情報システム向けに開発されたソフトを流用できない」と悩みを語った。

 アクセス権限の設定一つをとっても、ワープロやWebブラウザの使用にとどまる文系学生から、ソフトやハードの研究開発に携わる工学系の学生まで、多様なユーザー像を想定しなければならないという。松山教授は、こうした問題に対応できる情報システムの開発をベンダー各社に求めた。

 これに対し、司会役のバルマーCEOは「今回の会合を通じて問題点を抽出し、ベスト・プラクティスをまとめた上で、各大学のIT基盤整備に協力していきたい」と応じた。大学CIOフォーラムは、今回の会合での議論を土台として、約半年後に開く次回会合の場で提言書をまとめる予定である。