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 情報処理推進機構(IPA)は11月16日、LinuxやJBossなどオープンソース・ソフト(OSS)の性能や信頼性を評価したプロジェクトの成果を発表した。NTTデータ、新日鉄ソリューションズ、日立製作所などベンダー11社が調査を実施。結果は1400ページにも上り、IPAのホームページで公開する。「Linuxは少し改良を加えただけで10%性能が上がった。まだまだ進歩する余地がある」と、調査を担当した日本OSS推進フォーラム開発基盤WGの鈴木友峰主査は語る(写真)。

 この調査は、「性能・信頼性評価、障害解析ツール開発プロジェクト」。OSS活用基盤整備事業の一環として、年間予算は約1億円をかける。2004年から開始し、今回は2005年上半期の結果をまとめた。

 性能・信頼性の調査対象はLinux、Webサーバー、DBサーバー。WebサーバーはTomcatとJBoss、DBサーバーはPostgreSQLとMySQLを対象とする。加えて、Linux用とWebサーバー用にそれぞれ障害解析ツールを開発した。

 今回、クラスタ構成のシステムや、64ビット・プロセッサのサーバーで構築したシステムを新たに調査。その結果、「JBossのクラスタリング機能は高負荷時に適切に機能しない」、「PostgreSQLの場合、IA32サーバーに比べEM64Tサーバーは5%程度しか性能が向上しない」といったことが明らかになった。

 この調査や改善実施の結果を、LinuxやJBossの開発コミュニティに渡し、一部はすでに採択された。日本のベンダーがコミュニティに貢献する手段として確立しつつある。