県立広島大学の経営情報学部は、BPM(ビジネス・プロセス・モデリング)能力を身に付けるための講義「経営情報論」を拡大する。学部1年生から大学院修士課程までを対象に、業務プロセスとは何か、業務プロセスを改善することの意義や改善ノウハウ、業務プロセスを表記・可視化することの重要性を教育し、業務プロセスが設計できる人材を育成する。
同大学が、BPMの教育を決めたのは、「経営戦略と情報戦略の両分野に精通した人材を育成するため」(経営情報学部の上野信行学部長)。ユーザー企業のIT部門に、「経営とITをつなぐ人材が少なく、無駄な情報化投資が続いたりシステムの戦略活用が進んでいない」(同)との危機感から、プログラミングやプロジェクトマネジメントに関する講義に加え、業務プロセスを設計する授業を開始することにした。製造業企業でシステム部長を務めた経験がある上野学部長は、「カリキュラムを通じ、業務プロセスを独自にデザインできるだけの能力を高め、将来を担うIT人材を輩出したい」と意気込む。
「経営情報論」では、BMP教育ツールとして、IDSシェアー・ジャパン製のBPMツール「ARIS」を使う。この4月から、ARISを使った授業を一部、始めており「直感的に業務プロセスを記述できるなど学生の評価が高かったので、本格採用した」(上野学部長)。
ARISは、業務プロセスを可視化するためのツールで、三井物産や松下電器産業などが業務プロセスの標準化活動に導入している。IDSシェアーによれば、「ARISを数ライセンス購入し、ゼミなどで使っているケースはあるが、講義の中でARISを本格活用するのは広島大が初めて」という。広島大は今回、100ユーザー・ライセンスを購入した。購入金額は不明。