古河電気工業は11月16日,拠点間の通信を暗号化できるVPN(仮想閉域網)ルーター「FITELnetシリーズ」の新モデルを発表した。新たにauとウィルコムの通信カードに対応。モバイル環境でも,拠点間のネットワークを構築できるようになった。ブロードバンド回線を引き込めない場所やバックアップ用途としてモバイル環境を使いたい企業に向けた。価格は12万5000円。

 新モデルの名称は「FITELnet-F120」。最大2.4Mビット/秒で通信可能なauの通信カード「W01K」と,最大256kビット/秒で通信可能なウィルコムの通信カード「AX510N」のどちらか1枚を装着できる。料金プランは,auでは無料通信部分を含む従量課金型の「PacketWINシングルサービス」,ウィルコムでは月額固定型の「つなぎ放題」と,無料通信部分を含む従量課金型の「ネット25」に対応する。

 モバイル回線を拠点間ネットワークのメイン回線として利用することも可能。例えばブロードバンド回線を引き込めない地下や,短期間だけ事務所を開設した時に利用したいといったニーズに対応できる。また,F120はブロードバンド回線に対応した2個のWANポートも搭載。これら2ポートとモバイル回線を合わせた計3ポート間でメイン回線とバックアップ回線を自動的に切り替える「バックアップ機能」を持ち,バックアップ回線として使うこともできる。

 実は,FITELnet-F120はまったくの新モデルと言うわけではない。これまでもauのW01Kにだけ対応した製品が,ルートをKDDIの法人営業に限定して販売されてきたからだ。今回,ウイルコムのAX510Nにも対応することで一般向け製品として販売に踏み切った。auとウィルコムの両方に対応したF120は,ROM(読み取り専用メモリー)を含めて内部構成を見直している。このためKDDIの既存ユーザーは,ファームウエアのアップグレードだけでは対応できない。別途,相談となる。