独立行政法人 情報処理推機構(IPA)は11月10日,「自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証」の公募結果を発表した。北海道札幌市,栃木県二宮町,大分県津久見市,沖縄県浦添市の4自治体に,各数十台から百数十台,合計数百台のLinuxデスクトップ機を導入する。

 札幌市では,水道局全体でLinuxデスクトップを導入。遠隔地の分散した拠点でも利用する。栃木県二ノ宮町では町役場全体にLinuxデスクトップを導入する。大分県津久見市では,ネットワーク・ブートによるLinuxシン・クライアントを利用。沖縄県浦添市では,住民票や納税証明など基幹業務システムの端末としてLinuxデスクトップを使用する。

 「自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証」は,経済産業省が電子政府におけるオープンソース・ソフトウエア実用化を目指し実施するもの(関連記事)。経産省では2004年度にIPAを通じ教育機関17校,約4000名の児童と生徒を対象にLinuxデスクトップ導入実験を実施しており,2005年度も実験を継続している(関連記事)。今回の導入実証はその自治体版である。

 教育現場での実験と同様,導入に必要なソフトウエアなどを整備し,オープンソース・ソフトウエアとして公開する方針。また実験の成果として得られたノウハウや効果,課題などはガイドブックとして公開する。教育現場での実験に際しては,デスクトップLinuxのハードディスクの内容を夜間に一斉に更新するツールが開発され,オープンソース・ソフトウエアとして公開されている。またガイドブックは書籍として刊行されている。

 北海道札幌市ではテクタス,栃木県二宮町ではNEC,大分県津久見市では財団法人 ハイパーネットワーク社会研究所,沖縄県浦添市ではおきぎんエス・ピー・オーが導入を担当する。9月から開始された公募には14件の応募があり,その中から4件が採択された。