サンのマーク・ハプナー氏 「SOA(サービス指向アーキテクチャ)の核となるJBI(Java Business Integration)が今年6月にようやく確定した。これでSOAに基づくシステム構築を本格化できる準備が整った」。米サン・マイクロシステムズでWebサービス・ストラテジストを務めるマーク・ハプナー氏(写真)はこう語った。ハプナー氏は、サーバー向けJava技術の標準仕様「J2EE(Java 2 Platform Enterprise Edition)1.2」、同1.3、同1.4で主任設計者を務め、J2EEの父と呼ばれている人物だ。現在もJavaやWebサービスの標準規格を策定に携わるほか、サンのWebサービス戦略も立案している。

 JBIは、SOAにおけるサービス同士を連携させる際に必要になる「ESB(Enterprise Service Bus)」に関する標準仕様。メッセージのルーティング機能やサービスの管理機能といったESBが持つ機能の標準を定めたもので、Javaの標準化を進めるJCP(Java Community Process)がまとめた。

 ハプナー氏は、「JBIがSOA実現のための標準的な基盤になる」と主張する。すでにESB機能を持つ製品は存在するが、SOAPやWSDLといった標準にのっとっているものの、ESBの機能自体はベンダーが固有に仕様を決めているのが現状だ。これに対し、ハプナー氏は「ESBはSOAの中核的な役割を果たす基盤であり、ベンダー固有の技術に縛られるべきではない。複数のベンダーが参加して策定した標準であるJBIに準拠すべきだ」と話す。

 ただし、JBIに仕様に基づいたソフトウエアのサンプルである「リファレンス実装」が出始めたばかりで、JBIに準拠したESB製品や開発ツールはまだ存在していない。サンは今後開発・出荷するESB製品や開発ツールをJBIに準拠させる方針だが、最初の成果が出てくるのは「早くて半年、遅くとも1年後」(ハプナー氏)という。