総務省は11月11日,国内の無線ブロードバンド普及推進について検討する「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」の第9回会合を開催した。約1年間にわたり議論してきた結果を踏まえ,総務省が作成した最終報告書案を提出した。

 同研究会では,国内の無線通信のあり方を検討するため,2004年11月に議論がスタート。一般の利用者が無線サービスを使う用途ごとに,細かく無線通信技術を洗い出し,今後導入が予想される様々な無線技術を検討してきた。

 報告書には,2005年4月から無線ブロードバンドの利用形態ごとに設置した作業班の成果を反映させた。例えば,自宅や外出先などの用途では,「第3世代高度化システム」,「第4世代携帯電話システム」,WiMAXなどの「広帯域移動無線アクセス」などが検討システムとして盛り込まれた。これら以外にも情報家電や車同士の通信など,幅広い分野で具体的な通信システムや望ましい周波数帯について議論した結果が含まれている。

 これらの内容をまとめた報告書案は156ページを数え,参考資料も含めると500ページ以上の膨大な成果となった。この成果を踏まえ,座長の辻井重雄・情報セキュリティ大学院大学学長は,「今後の日本の無線ブロードバンドを検討するうえで,世界にも誇れるような報告書ができた。これを基に,官民を上げて日本の無線ブロードバンド技術を世界に広めてほしい」と評価した。

 最終報告書案は11月18日に公開され,12月9日までパブリック・コメントを募集する。その後,意見を取りまとめた上で12月下旬に最終報告書とする予定である。