ボーランドは2005年11月9日,Javaの統合開発環境(IDE)の新版「JBuilder 2006」の出荷を開始した。特徴は,ピア・ツー・ピア(P2P)通信によって遠隔地間でのペア・プログラミングを実現する機能を搭載したことである。
この機能を利用する開発者は,JBuilderの「プロジェクト」と呼ばれる情報を共有する。プロジェクトには,ソースコードやデバッグ情報など,個々のプログラムを開発するために必要なファイルが集められている。ペア・プログラミングの対象となるプロジェクトを保持している開発者のマシンがホストとなり,もう一方の開発者がこのマシンに接続すると,ホストの持つプロジェクトが一時的にコピーされる。このとき,そのプロジェクトが参照しているjarファイルなども一緒にコピーする。これらを使って,ソースコードの編集やデバッグをする。どちらかのマシンでファイルに変更が加えられると,それがもう一方にリアルタイムに伝えられる。チャット機能も備えており,これを使って会話をしながら開発作業を進められる。なおJavaのバーチャル・マシンは各自のマシンにインストールされているものを利用するため,あらかじめバージョンを合わせておく必要がある。またこれ以外には,米Fortify Software社の技術を利用して,ソースコードを解析してセキュリティ上の問題を検出する機能なども追加した。
Windows,Solaris,Linuxで利用できる。価格は,すべての機能を利用できるEnterprise版が31万5000円,UML(Unified Modeling Language)によるモデリング機能やJ2EE(Java2 Platform,Enterprise Edition)関連の開発機能を持たないDeveloper版が5万400円。JavaのIDEとして基本的な機能のみを備えたFoundation版も,従来通り無償公開する予定である(公開時期は未定)。