証券取引所のシステム障害や、個人情報の漏洩事件/事故が社会問題化するなか、東京大学が新しいタイプの専門家の育成に乗り出す。同大学の大学院学際情報学府は来年4月、情報分析やリスク分析の専門家を育成する「総合分析情報学コース」を設立する。大量のデジタル情報を分析し、問題を発見したり解決策を見いだせる人材の育成を狙う。

 育成する人材のイメージは幅広い。CIOとして企業や公共機関のビジネス戦略や政策を立案する人材や、大規模システムの障害を早期に発見するアナリスト、研究者を育成する。

 この新コースを提案したのは、「TRON」提唱者であり、現在ユビキタス・コンピューティングの研究や実用化を推進している坂村健 東大大学院情報学環教授。坂村教授は「海外では、情報分析の専門家が当然のように育成されている。一方、日本では教育の必要性は認められながらも、実行には移されていなかった」とした上で、「あらためて社会的なニーズが高まってきたいま、教育コースの設置に至った」と設立の経緯を語る。坂村教授も自ら講義を受け持つ予定。

 募集対象は理数系の基礎を習得済みの学生や社会人。修士課程は約20人、博士課程は約8人を募集する予定。入試の要項は11月21日から配布する。先行して本日(11月8日)から東大のWebサイトで公開を始めた。さらに11月26日には入試説明会を兼ねた設立記念シンポジウムを東京大学・本郷キャンパス内で開催する。