ダウンロードできるExpress Editonは,期間や機能を限定した評価版ではなく,製品版と同じものである(ダウンロード後にユーザー登録してキーを入手する必要がある)。入門者向けとはいえ,製品版のVSを一般に無償提供するのは,VSの歴史上初めてのことである。
さらにマイクロソフトは,日本時間の11月7日に発表したアカデミック向け施策の中で,製品版のExpress Editionを雑誌や書籍の付録として配布することを認めている。今回の無償ダウンロードは1年間限定だが,Express Editionの日本語版は,パッケージ製品(推定小売価格4800円)より安価な,雑誌や書籍で入手可能になるだろう。
これまで米Microsoftは,Eclipseに代表されるオープンソースの開発ツールが一般ユーザーにまで浸透していく中にあっても,試用版や評価版を除いてVSを無償提供することはなかった。しかし,アプリケーションの開発/実行環境が .NET Frameworkに移行したVS .NET以降,VSはかつてのような人気ツールではなくなりつつあった。特に,初級者/入門者に絶大な人気があったVBは,ユーザー数がどんどん減る傾向にある。今回のExpress Editionの提供は,こうした状況に歯止めをかけようというMicrosoftの危機感と意気込みの表れと言えるだろう。