左から電通国際情報サービス 事業推進本部 R&Dセンタービジネス開発グループマネージャー 島崎崇氏,同統括マネージャー 飯田哲夫氏,Seasarファウンデーション チーフ・コミッタ 比嘉康雄氏,同代表理事 栗原傑亨氏
左から電通国際情報サービス 事業推進本部 R&Dセンタービジネス開発グループマネージャー 島崎崇氏,同統括マネージャー 飯田哲夫氏,Seasarファウンデーション チーフ・コミッタ 比嘉康雄氏,同代表理事 栗原傑亨氏
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 電通国際情報サービスは11月8日,国産オープンソースJavaフレームワーク「Seasar2」(シーサー2)の商用サポートを開始する。Seasar2は,DI(Dependecy Injection)およびAOP(アスペクト指向プログラミング)と呼ばれる設計思想に基づくフレームワークで,保守性や生産性の向上が望めるという。すでに会員100万人以上のサイトや,数十人月のプロジェクトを含む多くの業務システムでの採用実績があり,これまでに10万件以上ダウンロードされている。

 DIは,コンポーネントのインタフェース定義と実装を分離することで,プログラムの柔軟性を高める設計思想。同じ設計思想に基づくフレームワークにSpringなどがあるが,業務システム開発の現場における実用性を追求していることが特徴。「Seasar2は,現場における実務上の必要性から生まれた」(Seasarファウンデーション 代表理事 栗原傑亨氏)。例えばSeasar2は適切な規約を守っていれば,設定を記述しなくともフレームワークが自動的に設定してくれるため「設定ファイルのXML地獄から抜け出すことができる」(Seasar チーフ・コミッタ 比嘉康雄氏)。

 Seasar2は,これまで企業ポータル,金融業のCRMシステム,携帯電話のサイトなどで採用されている。「Seasarのユーザーは企業」(栗原氏)。企業が採用しやすいよう,プロジェクトの継続性を確保を目的にNPO法人設立の申請も進めている。

 「デファクトが存在しない領域での,開発に必要なすべてのプロダクトをSeasar Foundationが提供する」(比嘉氏)。現在,Java Server Facesを実装したTeeda(ティーダ),O/Rマッパー(DBアクセス自動化モジュール)のKuina(クイナ)の開発が進められている。これらを統合テストし,すぐに利用できるようにして提供する形態を,Seasarファウンデーションでは「All-in-Oneソリューション」と呼ぶ。2005年4月には「All-in-Oneソリューション」の形での提供を開始する。

 また,Javaだけでなく,PHPや.NET(C#,VB.NET)の言語での実装も開発が進んでいる。すでに.NET(C#)によるクライアント/サーバー・システムの構築事例もあるという。

 電通国際情報サービスでは同社では「Linuxはすでに当り前の存在になりつつある。オープンソース市場はDB,フレームワーク,業務アプリと,下位から上位レイヤーへの拡大が見込まれる」(事業推進本部 R&Dセンタービジネス開発グループ統括マネージャー 飯田哲夫氏)。Seasarのオリジナル開発者でありチーフ・コミッタの比嘉康雄氏は,電通国際情報サービスでフレームワークの開発などに携わっている技術者でもある。電通国際情報サービスでは同社でのパッケージなどの案件ですでにSeasarを採用している。またSeasarのドキュメントの英文翻訳などに関する支援を提供している。主要ドキュメントの英語化は11月末に完了する予定で,海外へも情報を発信していく。

 サポート・サービスでは,Seasar2に関する問い合わせへの回答と,不具合の修正(パッチ)提供を行う。S2Dao,S2Flex,S2JSF,S2Struts,S2Hibernateも対象となる。価格は5インシデント年間30万円など。