名古屋証券取引所(名証)が4日、相場報道システムの障害により午前中の取引が完全停止した件で、同取引所の畔柳昇社長が同日午後5時から会見し、事情を説明した。システム障害の原因については、データベース関連の不具合だと繰り返すにとどまった。畔柳社長は「原因究明はこれから。憶測では話せない」として、詳細説明を避けた。

 障害を起こした相場報道システムは、富士通製UNIXサーバー上で稼働し、データベース管理システムにはOracleを使用している。名証によれば、相場報道システムが起動しなかったのは、「データベースを動かすためのシステム・ファイルをシステムが認識できず、起動しなかったため」。該当するシステム・ファイルについても「データベースの一部のファイル」(業務グループの平朋司グループ長)と説明するにとどまった。

 通常Oracleは、データベースの物理構造を記録する「制御ファイル」と、各種リソースの制限を設定するための「初期化パラメータ・ファイル」を起動時に読み込んでいる。今回は、これらいずれかのファイルを読み込めなかったため、Oracleが起動しなかったとみられる。4日午前の復旧作業では、9時過ぎにデータベースのシステム・ファイルが問題であることを突き止め、9時20分ごろバックアップ・ファイルからシステム・ファイルを書き戻すことで、システムは正常に起動している。

 名証の相場報道システムは、富士通が2000年に構築した。これまでに、システム障害による売買停止は5回あるが、データベースを原因とするトラブルは今回が初めて。システム変更は、この3月に相場情報の気配値表示プログラムを修正したのが最後で、それ以後はシステムを変更していないという。3月の修正は、「今回の障害には影響を与えていない」(平グループ長)と判断しており、畔柳社長は「なぜ今日になって障害が発生したのか分からない」としか答えられなかった。

 4日朝の障害は、6時30分に相場情報システムが正常に起動しないことが判明した。再立ち上げ処理を行ったものの起動せず、8時17分に取り引き参加者や報道関係者に障害発生を通知。8時45分には午前の相場の立会開始を遅らせることを決め、8時50分に取り引き参加者などに通知した。9時20分に相場報道システムは復旧したが、売買システムの同期がとれず、売買システムと接続できた10時15分に全面的に復旧した。ただし、関係者への情報通知の時間を考慮して、午前の取り引きは停止し、午後12時半から取り引きを再開したという。

 会見では、畔柳社長は「投資家の皆様、上場企業の方々などに多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。システムを構築した富士通は4日夜に、「多くの方々に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。現在当社は原因究明を鋭意進めており、こうした事態の再発防止に向け、誠心誠意、徹底して努めてまいる所存です」との謝罪文を発表した。富士通も、障害原因については「調査中で原因を把握するに至っていない」(広報部)としている。