米Microsoftは先週,次期オフィス統合ソフト「Office 12」(開発コード名)において,紙ベースの出力形式「XPS(XML Paper Specification)」(開発コード名Metro)をサポートすることを明らかにした。重要性が高まりつつあるOpenDocumentのサポートは,依然として拒否している。

 同社のOfficeの開発マネージャであるJeff Bell氏は先週,「OfficeのXPS形式への対応は,Officeソフトから他のソフトへの変換を行うもので,プラットフォームに依存しない,ページ単位の形式になっている」と自分のブログの中で明らかにした。多くのアナリストは,XPSがAdobe SystemsやPDF形式を脅かすものとしてとらえている。

 同氏によると,MicrosoftはXPSのビューワを出荷する予定があるという。これによりXPS文書の表示と印刷は,Office 12がなくても実現できる。恐らくこの機能は,Windows Vistaに搭載される。

 しかも,XPSのサポートに加えて,Office 12ではPDF形式による保存も可能になる。これまでカナダCorelやOpenOffice.org,米Sun Microsystemsなどの競合するオフィス統合ソフトは,PDF形式で保存する機能を搭載してきた。米Apple Computerは,Mac OS XにPDF機能を統合しており,印刷機能を使って文書ファイルをPDF形式で保存できる。

 XPSとPDFは,同じ文書を異なるユーザーが異なる形式で編集したとき,どちらの文書形式でも保存できるというものではない。あくまで,Office 12の中でエクスポートのオプションとして扱えるようになるものだ。これらと比較して,Microsoft Officeの元々の文書形式(.docや.xlsなど)と標準のXML文書形式に関して言えば,Microsoft製品はどちらも透過的に編集や保存ができる。

 一方,OpenDocumentは,OpenOffice.org 2.0とSun MicrosystemsのStarOffice 8でサポートされている。OpenDocumentは世界中の様々な政府機関で採用されており,現在,米国マサチューセッツ州は公式文書のすべてをこの形式に切り替えている最中だ。

 今日までMicrosoftはOpenDocumentのサポートを拒絶してきた。そして最近,採用の可能性を試しているという報道さえも否定した。「われわれには現在,OpenDocument形式を直接サポートする計画はない。われわれのOffice 2003標準のXML形式は,既に発表したようにOffice 12のデフォルトのファイル形式でもあり,これまで消費者やパートナ企業に十分受け入れられてきた。この件は,われわれはパートナにとても期待している。独立系のベンダーや競合会社が,われわれのXML形式とOpenDocument形式の間を変換するソフトを作っており,いくつかのプロジェクトがあるようだ」(Jeff Bell氏)。