住友スリーエム(住友3M)は11月1日,携帯電話機を使った営業員向けモバイル・システムを本格稼働させた。社員が持ち歩くNTTドコモのFOMA端末にダウンロードしたiアプリから,社内のイントラネットにアクセスできる。新システムの導入に伴って,通信コストを約30%削減する見込み。

 住友3Mでは,日本IBMのグループウエア「Lotus ノーツ/ドミノ」を使ってメールやスケジュールを管理している。このノーツ/ドミノに社外からアクセスする手段として,同社はノート・パソコンと携帯電話の通信カードを一式,600人の営業員に配布していた。しかし,メールをチェックするたびにノート・パソコンを起動し,ネットワークに接続することが手間だった。また,通信カードと同時に携帯電話も配布していた。社員が2回線を持つため,通信コストがかさむことも課題となった。

 そこで今回,ノーツ/ドミノとの親和性が高い日本IBMのモバイル向けミドルウエア「WebSphere Everyplace Access」(WEA)を採用し,携帯電話単体でノーツ/ドミノにアクセスできる環境を構築した。新システムの導入に合わせて携帯電話の通信カードを廃止。これによって営業員の使い勝手を高めながら,携帯電話の通信カードにかかっていた基本料金や通信料を削減した。会社で法人契約する携帯電話機も,これまで通信事業者2社から選択していたがNTTドコモ1社に限定。調達コストや運用コストを抑えた。

 新システムは,WEAを搭載したサーバーが中核になる。WEAサーバーは携帯電話からのアクセスを制御すると同時に,ノーツ/ドミノのコンテンツを携帯電話向けに最適化する。携帯電話からはインターネット経由でWEAサーバーにアクセスする仕組み。この際,あらかじめWEAサーバーに登録した固有のIDを持った携帯電話からのアクセスしか受け付けない仕組みになっている。接続後は,SSL(secure sockets layer)で通信内容を暗号化する。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション

●日経コミュニケーション編集部より 第2段落と第3段落の「PHSの通信カード」は,正しくは「携帯電話の通信カード」でした。新システム導入後はノート・パソコンの利用を廃止する表現としておりましたが,正しくは新システム導入後も廃止せず,リモート接続の用途以外の業務端末として継続利用しています。お詫びして訂正します。2005.11.02