ジャストシステムは10月31日、同社の看板ソフトであるワープロ「一太郎2006」など、3製品を発表した。一太郎2006の特徴の一つが、「提出確認」と呼ぶ機能の強化だ。これは利用者が作成した企画書や論文といった文書を、上司や取引先に提出する直前に内容を再確認するためのもの。提出確認に必要な機能を全て呼び出せる画面を用意した。この画面を使って、文書の校正やセキュリティ設定といった一連の作業を実行できる。

 具体的には、誤字・脱字や表記の揺れ、誤用などをチェックする「校正機能」では、論文や報告書、手紙といった文書のスタイルを指定して、誤り候補を検出できる。二つの文書の違いを調べる「文書比較機能」も、変更履歴を作成しやすくするため、相違点として指摘された単語がある段落だけを抜き出せるようになった。

 このほか提出確認画面では、作成した文書の改ざんを禁止したり、「社外秘」などの透かし文字を自動的に挿入することもできる。「個人情報などの機密保護が、以前にも増して重要になっている現在、提出確認を新たなビジネス・マナーとして定着させたい」(マーケティングを担当する一太郎ビジネスオーナーの成家勉氏)。

 同時に発表した日本語変換ソフト「ATOK 2006」でも、提出前の校正支援機能を強化している。「気が置けない」、「役不足」など、意味を取り違えて理解されている可能性のある表現については、入力したときに用法も併せて表示することで、注意を促す。

 なお、ジャストシステムは松下電器産業から、特許侵害で提訴されていた。9月30日に知的財産高等裁判所が、ジャスト全面勝訴の判決を下している。浮川和宣社長は「今回の新製品では、訴訟案件に関わるインタフェースを、あらかじめ問題にならないよう変更している。当社の業績に関しては、全体として見れば訴訟の影響はなかったし、今後もないと思う」とコメントした。

 このほか同社は、グラフィック・ソフト「花子2006」も発表した。花子2006では、編集中のページに他のページを縮小表示する「サムネイル機能」を搭載するなど、ユーザー・インタフェースを強化した。

 3製品は、いずれも出荷は2006年2月。価格は一太郎2006が2万円、ATOK 2006が8000円、花子2006が9800円。浮川社長は、「当社は一太郎で成長してきた会社。今回の新バージョンにも、多くの人に望まれた新機能を搭載している」と、新製品に自信を見せた。