フュージョン・コミュニケーションズ売却をめぐる東京電力とイー・アクセスの交渉は,フュージョンの売却金額で両社の折り合いがつかなかったことが破談の大きな要因であったことが関係者の証言で明らかになった。イー・アクセスは一部報道に関して「交渉をしたことは事実だが,現在は交渉を打ち切っている」と表明している。

 このままフュージョンの売却先が決まらないと,東電子会社のパワードコムとKDDIの合併スケジュールにも影響が出る可能性もある。

 フュージョンの筆頭株主であるパワードコムとKDDIは,11月8日近辺に合併契約書を締結する予定。だが,フュージョンの売却先がそれまでに確定しない場合,日程が延期される可能性がある。そうなると,2006年1月1日に予定している合併の期日も延びる恐れも出てくる。フュージョンの売却先が決まらないままKDDIがパワードコムと合併契約を締結すると,フュージョンの売却額によってはKDDI側に株式評価損が発生するリスクが出てくるからだ。

 パワードコムはフュージョンの54.27%の株式を所有しており,パワードコムの簿価上での評価額は80億円程度と見られる。フュージョンの行方が決まるのは,11月8日までが一つの山となりそうだ。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション