日立システムアンドサービスは、日本オラクルの認定するデータベース資格のORACLE MASTER Platinumを18人の社員に取得させた。PlatinumはORACLE MASTERの最上位資格であり取得者は世界で250人だけ。日本に限ればその数は100人に減るため、日立システムの突出ぶりは目を引く。

 しかも、これら18人は1年の間に資格を取得している。その理由について、同社の森下優ソリューション営業本部オープンソリューション営業部部長は、「まずは社長が全社の幹部が集まる会議でこの資格を取ろうと宣言したこと。2004年のことだったが、これで全社的に取得しようという機運が高まった」と話す。

 Platinumは単純な筆記やオンラインではなく、3日間の合宿試験で判定される。単にデータベースの製品知識を持つだけで合格するのは極めて難しい。現実に日立システムでこの資格を取得した面々も、現場の第一線の技術者たちだという。森下部長は、「現場の業務を抱えている人間に勉強や合宿試験を受ける時間を割いてもらうのが大変だった。半年くらいをかけて18人が合格した」と振り返る。

 森下部長によれば、「Platinumを受験したエンジニア全員が合格したわけではない。顔ぶれを見ると、業種や業務知識の豊富なエンジニアの合格率が高かったようだ。Platinumは、エンジニアの実力を判断する要素の一つになるのではないか」と話す。

 もちろん日立システムが短期間で、これだけのPlatinumを取得できた理由はこれだけではない。一つは同社が技術者の人材育成に力を注いできたこと。ITSS(ITスキル標準)にも積極的に取り組んできた。技術者本人だけでなく上司を含めて、キャリアアップのシナリオを描きやすい環境がある。

 そもそものベースとしてオラクル製品を利用したシステム・インテグレーションの経験が豊富で、ORACLE MASTERの取得者は多いという優位点もあった。同社のエンジニアの数は4500人ほどだが、ORACLE MASTER関連の資格取得者数は延べで6300人を超している。森下部長は、「インテグレータとしてユーザーが望むシステムを構築する中でオラクル製品を使う機会が多いという現実がある。使う機会が多いからオラクルを知っているエンジニアの数も多くなる」と話す。

 日立システムの中村博行執行役役社長が、Platinumを取得すべきだと話したのには理由がある。同社は、2000年4月に日立システムエンジニアリングと日立西部ソフトウェア、日立中部ソフトウェアが合併して誕生。2004年3月に東証2部に上場した。合併に伴う社内的な統合作業が一段落したことに加え、他のインテグレータにない個性を持たせるという狙いもあったようだ。

 日立システムは今後もPlatinumの取得を進める方針だ。「まずは社長が掲げた目標である20人にする」(森下部長)という。

【訂正】本文中、「Platinumは単純な筆記やオンラインではなく、3日間の合宿試験で判定される」とありますが、正しくは「Platinumの取得には、2日の実技試験を受験し合格することが必要である」です。お詫びして訂正します。