総務省は10月28日,「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」の第1回会合を開催した。既存の回線交換網をIP化する通信事業者が増えていることなどに対応するため,競争ルールの考え方の整理や接続や料金政策の方向性を明確化することが狙い。懇談会が念頭に置くのは,NTTグループが3000万ユーザーに光アクセスを提供すると目標に掲げている2010年初頭の通信市場である。

 総務省の須田和博総合通信基盤局長は,「日本はブロードバンドや第3世代携帯電話が早期に普及しており,これまでの通信行政は世界的に見ても正しかった。次の問題である(回線交換網の)IP化は目前に迫る。新しい競争ルールの構築が必要なので,世界のフロント・ランナーとして進めたい」と冒頭であいさつし意気込みを示した。

 懇談会は,13人の有識者で構成されており,11回程度の会合を予定。2006年9月をメドに報告書を取りまとめる。検討アジェンダが決定する2006年からはオブザーバーとして通信事業者やコンテンツ事業者,機器メーカーなど10社程度を選定し,議論に参加してもらう方針だ。

 第1回会合で示された検討アジェンダの案は,(1)IP化の進展に対応した競争政策に関する基本的考え方,(2)今後の接続政策のあり方,(3)今後の料金政策のあり方,(4)その他の政策課題--の大枠で構成されている。東西NTTの光ファイバなどに課せられている指定電気通信設備の制度の枠組みが今後とも競争促進に有効かどうかなどの論点が含まれている。

 検討アジェンダの案については,11月1日~30日までパブリック・コメントを募集する。12月中旬の第2回会合で,パブリック・コメントで集まった意見を含めて,今後の検討アジェンダについて議論する予定だ。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション