米Red Bend Software マーケティング執行副社長のMorten Grauballe氏
米Red Bend Software マーケティング執行副社長のMorten Grauballe氏
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 携帯電話機のファームウエアを無線経由でアップグレードするソフト「vCurrent Mobile」を開発する米Red Bend Softwareは10月27日、日本法人「レッドベンド・ソフトウェア・ジャパン」(本社:中央区、阿部一博社長)を設立した。日本法人の従業員数は5人で、資本金は1000万円。すでに携帯電話メーカーであるシャープと契約した。2006年にはさらに3社との契約を狙う。初年度売上目標は10億円。

 国内企業の顧客は、10月27日の日本法人設立時点ではシャープ1社である。シャープは現在、米InnoPath Software製のファームウエア更新ソフトを携帯端末通信事業者であるNTTドコモ向け端末に搭載している。今回新たに米Red Bend Softwareと契約を交わし、ボーダフォンとVodafone Group向け端末にvCurrent Mobileを搭載する。

 vCurrent Mobileの特徴は「転送データ量を小さく抑えられることと、データを消失しない安全性を確保していること」(米Red Bend Softwareマーケティング執行副社長のMorten Grauballe氏)である。ファームウエアの差分だけを抽出して携帯電話に送り込み、携帯電話側で差分を元に完全なファームウエアに更新するほか、データ圧縮機構を備える。ファームウエア更新時の電源断など不慮の事故を想定した冗長なファイル・セーフ手順を備えるほか、更新前の状態に戻すロールバック機能も搭載する。

 ファームウエアを無線経由で更新するメリットは、ファームウエアの更新にかかるコストを低減できる点である。バグの修正やパッチの適用などのカスタマ・サービス用途に適するほか、新規機能の追加にも利用できる。Morten Grauballe氏はファームウエアを更新する需要について「携帯電話機の機能は増え続けるため、バグが生まれやすくなる。機能が多いと市場への製品投入も遅くなる」と指摘した。