米ユニシスのピーター・ブラックモア上級副社長ワールドワイドセールス&マーケティング担当
米ユニシスのピーター・ブラックモア上級副社長ワールドワイドセールス&マーケティング担当
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 10月26日にNECと米ユニシスが発表した、次世代ハイエンドサーバーの共同開発などを骨子とする提携の内容から、米ユニシスがハード製造から完全に撤退することが分かった。両社はインテルのIA-32またはIA-64を搭載したLSIを共同開発し、2007年にはWindows、Linuxはもちろん、ACOSやOS2000、MCPといった両社のメインフレームOSも動かせる次世代ハイエンドサーバーを市場に投入する。製造と供給はNECが一手に引き受ける。

 ユニシスは90年代後半から、クライアントパソコンや下位のサーバー機などの製造を次々と打ち切り、メーカーとしてのビジネスを縮小し続けてきた。残るCMOSチップ搭載のClearPathサーバーと大型IAサーバーES7000も、NEC製の次世代機に取って代わられることになる。今回の提携の背景として、大きいのは、CMOS機の開発にかかる巨額の投資だ。同社の売り上げは2002年以降伸び悩み、2005年に入ってからは赤字に転落するなど、業績が低迷している。ハードの開発を他社に任せることで、年間約300億円という開発投資から解放されるメリットは大きい。
 
 ピーター・ブラックモア上級副社長ワールドワイドセールス&マーケティング担当は「今後、ハードは業界標準のものを使う。その分のリソースをセキュリティや仮想化、信頼性といった、顧客への差異化につながるソフト技術に振り向ける」とする。次世代機の開発には、米ユニシスのエンジニアも参画するが、その後、同社のハード開発部隊は消滅するとみられる。ブラックモア上級副社長は、ハード部隊の将来について「2年程度でソフト技術へのシフトを進める」と語っている。

 今回の提携で気になるのは日本ユニシスの行方だ。NECの小林一彦取締役執行役員専務は「日本ユニシスは交渉に関与していない」と語ったが、今回の提携で日本ユニシスが一番大きな影響を受ける立場であることは確かだ。同社はユニシスの看板を背負ってはいるものの、三井物産が米ユニシスと同じ3割弱の株を持ち、米ユニシスの現地法人としては異色の存在だ。そのためか、過去に何度も米ユニシスからの独立をささやかれてきた。しばらくは同社の動向から目が離せなさそうだ。

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